セッション情報 ワークショップ20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

咽頭癌と食道癌の効率的な観察法≪ビデオ≫≪アンサーパッド≫

タイトル 内W20-12:

頭頸部・食道領域の表在癌に対する新規分光イメージングシステムの検討

演者 金子 和弘(国立がん研究センター東病院・消化管腫瘍科)
共同演者 大野 康寛(国立がん研究センター東病院・消化管腫瘍科)
抄録 【目的】表在癌の表層部では血管新生が促進され、微細血管が発達する。また、血流不足による酸素不足(低酸素)状態が発症していると報告されている。癌表層の微細血管、低酸素状態が観察可能な新規内視鏡システムを開発したので、本システムを用いて表在癌の病変範囲と酸素飽和度の関連性について検討したので報告する。【方法】ESD施行前の食道癌4例(扁平上皮癌3例、腺癌1例)に対して、FUJIFILM社製のレーザー光源を用いた内視鏡システムで観察を行った。本装置は各機能に適した照明を用いており、白色光観察、並びに特殊光観察として表層血管観察・低酸素観察が可能である。表層血管観察での画像は明るく、遠景からでも表層血管の集合部を識別することができ、低酸素観察では動物実験より粘膜表層部の酸素飽和度の状態を可視化することに成功した。本臨床試験では、挿入時から表層血管観察モードを用いて病変部を描出し、近接・拡大観察を併用して範囲診断を行った。その後、低酸素観察モードに切替えて病変部の撮影を行い、取得した画像を解析して酸素飽和度の状態を評価した。【成績】平均腫瘍径は14mm (8-22mm)、深逹度はpT1a:3例、pT1b:1例であった。表層血管観察モードにより正常粘膜と病変とのコントラストが明瞭になり、4例全例で遠景からの病変部の識別が可能であった。近接・拡大観察では、質的診断が可能なほど癌表層部の微細血管像が明瞭に描出された。表層血管観察モードで病変部と診断された領域と、低酸素観察モードで示される酸素飽和状態の間には、非常に強い相関が全例で認められ、病変部では酸素飽和度が著しく低下していると考えられた。【結論】低酸素観察モードにより、食道表在癌の範囲を可視化できる可能性が示唆された。また、表層血管観察モードにより遠景から通常倍率で表在癌の存在診断が可能であることが示唆された。今後は、病変の大きさ・部位等による違いを検討し、他臓器癌での検討を行っていく予定である。
索引用語 表在癌, イメージングシステム