セッション情報 ワークショップ21(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

胃・十二指腸におけるIEEの有用性と限界≪ビデオ≫

タイトル 内W21-1:

生検で胃腺腫と診断された病変に対するNBI併用拡大内視鏡の有用性

演者 辻 陽介(NTT東日本関東病院・消化器内科)
共同演者 大圃 研(NTT東日本関東病院・消化器内科), 松橋 信行(NTT東日本関東病院・消化器内科)
抄録 【目的】鉗子生検で腺腫と診断された胃病変の治療方針は定まっていない。胃癌治療ガイドライン2010では、大きさを考慮して治療適応を決める、と記載されているが鉗子生検と内視鏡切除後標本の間で病理診断に乖離が認められることが報告されている。そのため、内視鏡的切除後に癌と診断される腺腫病変を事前に拾い上げることが望まれる。今回我々は、NBI併用拡大内視鏡が切除すべき腺腫の拾い出しに有用であるか検討した。【方法】対象は2007年7月~2010年12月に当院にてNBI併用拡大内視鏡で精査し、内視鏡切除を行った腺腫(生検診断)137病変。通常内視鏡における長径、色調(赤/白)、陥凹有無、瘢痕有無の各所見、ならびにNBI併用拡大内視鏡の所見(陽性/陰性)と内視鏡切除後病理評価(腺腫/癌)の相関を分析した。NBI併用拡大内視鏡の所見判定基準は八尾らの提唱するVS classificationを用いた。【成績】137病変のうち、内視鏡的切除後に癌と判明した病変は64病変(46.7%)であった。単変量解析では、陥凹有(P = 0.011)・色調赤(P < 0.001)・NBI併用拡大内視鏡所見陽性(P < 0.001)、が切除後癌と判明した病変と有意な関連を認めた。また、切除後癌と判明した病変は有意に平均長径が腺腫病変よりも大きかった(18.5 ± 11.4mm vs 13.8 ± 7.1mm、P = 0.005)。ロジスティック回帰分析では色調赤(オッズ比, 3.04; 95% CI: 1.26-7.34, P = 0.14)、NBI併用拡大内視鏡所見陽性(オッズ比 13.68; 95% CI: 5.69-32.88, P < 0.001)が有意な癌予測因子であった。NBI併用拡大内視鏡所見が最も強い癌の予測因子であり、感度75%、特異度84.9%、陽性的中率は81.4%であった。【結論】生検で腺腫と診断された病変をNBI併用拡大内視鏡で観察することにより、切除後癌と診断される病変を高率に予測できた。
索引用語 NBI, 拡大内視鏡