セッション情報 ワークショップ21(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

胃・十二指腸におけるIEEの有用性と限界≪ビデオ≫

タイトル 内W21-2:

NBI併用拡大内視鏡の胃癌・非癌診断における有用性と実地臨床での問題点

演者 下立 雄一(小樽掖済会病院・消化器病センター)
共同演者 藤田 朋紀(小樽掖済会病院・消化器病センター), 勝木 伸一(小樽掖済会病院・消化器病センター)
抄録 【目的】従来法である白色光内視鏡+色素内視鏡に対する白色光内視鏡+NBI併用拡大内視鏡の癌・非癌診断能を比較検討し、従来法に対するNBI併用拡大内視鏡の有用性と実地臨床での問題点を明らかにする。【対象・方法】2010年7月~2011年3月の期間にGIF-H260Zを用いてNBI併用拡大内視鏡観察を行った発赤調病変39症例(平均年齢68±12.4歳、男:女=24:15)、43病変を対象とした。白色光観察、色素(インジゴカルミン)散布、NBI併用拡大観察を行い、病変から的確に生検を行って検査を終了とし、生検病理結果を癌・非癌診断のgold standardとした。内視鏡画像は臨床情報と生検結果をブラインドにして主治医(内視鏡施行医)を除く4名の日本消化器内視鏡学会専門医が2名ずつに分かれて白色光内視鏡+色素内視鏡(色素内視鏡群)と白色光内視鏡+NBI併用拡大内視鏡(NBI併用群)の内視鏡診断を行い、生検病理結果との対比を行った。NBI拡大内視鏡診断は八尾らが提唱したVS classification systemに準じ、1視野に病変全体が表示不可能な場合には病変境界を追跡可能となるよう数枚の内視鏡写真を提示した。【成績】感度、特異度、生検結果との一致率(読影者2名の平均値で示す)はNBI併用群で87.5%、81.7%、82.6%であり、色素内視鏡群では50%、65.8%、63.9%であった。NBI併用群での誤診例はいずれもDemarcation line(DL)またはIMSP, IMVPの診断に苦慮した症例であった。【結論】NBI併用拡大内視鏡は色素内視鏡に比較して感度、特異度、生検一致率ともに良好な結果であった。内視鏡専門医の間でもDLやIMVP, IMSPの診断に苦慮する場合が多いのが現状であり、NBI併用拡大内視鏡のさらなる普及には、より客観的な診断指標と読影トレーニングシステムの構築が必要と思われた。
索引用語 NBI, 色素内視鏡観察