セッション情報 ワークショップ21(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

胃・十二指腸におけるIEEの有用性と限界≪ビデオ≫

タイトル 内W21-9追4:

胃上皮性腫瘍粘膜内病変の組織型診断における酢酸併用NBI拡大観察の有用性

演者 柴垣 広太郎(鳥取市立病院・内科)
共同演者 谷口 英明(鳥取市立病院・内科), 小林 計太(鳥取市立病院・病理診断・臨床検査科)
抄録 【目的】
胃上皮性腫瘍粘膜内病変の組織型診断における酢酸併用NBI拡大観察の有用性を検討する。
【対象】
2009年7月~2011年2月に内視鏡的/外科的に切除され、内視鏡像と病理組織像を対比できた79例85病変(腺腫21/高分化型癌43/中分化型癌13/低分化型癌 8)の粘膜内病変部114部位を対象とした(表層非腫瘍部は除外)。
【方法】
NBI拡大観察下に1.5%の酢酸を胃粘膜に接触させると、窩間部は白色、腺窩は黒茶色となり、表面構造(surface pattern:SP)が明瞭化する。病変部のSPを解析し、切除後に内視鏡像と実体顕微鏡像を対比して解析部に割を入れ、内視鏡像と病理組織像を対比した。1病変内に複数のSPがあれば、各々検討した。
【分類】
SPを、閉鎖した腺窩(Pit)を認めるPit pattern、腺窩が開放して絨毛様/脳回様の窩間部(villi様構造)を認めるvilli pattern、構造の消失したNon structure pattern(Sn)に分類した。Pit patternをPitの大きさ・形態・密度が均一なP1、不均一なP2、P2の密度が低下したP3に、Villi patternをvilli様構造の大きさ・形態・密度が均一なV1、不均一なV2、villi様構造が大小に融合したV3に亜分類した。
【結果】
各SPの数と病理組織像の内訳(腺腫/高分化型癌/中分化型癌/低分化型癌)を示す。
P1:7(7/0/0/0)、P2:33(5/26/2/0)、P3:12(0/0/12/0)、V1:5(5/0/0/0)、V2:38(7/29/2/0)、V3:9(0/2/7/0)、Sn:10(0/0/0/10)
(1)P1/V1は全て腺腫で、腺腫の診断精度(感度/特異度/PPV/NPV)は50%/100%/100%/88.2%であった。
(2)P2/V2は腺腫と分化型癌で、高分化型癌が有意に多く((P<0.01)、高分化型癌の診断精度は96.5%/73.7%/77.5%/95.7%であった。
(3)P3/V3は全て分化型癌で、中分化型癌が有意に多く(P<0.01)、中分化型癌の診断精度は82%/97.8%/90.5%/95.7%であった。
(4)Snは全て低分化型癌で、低分化型癌の診断精度は全て100%であった。
【結論】
P1/V1は腺腫、P2/V2は高分化型癌、P3/V3は中分化型癌、Snは低分化型癌の指標となり、酢酸併用NBI拡大観察は胃上皮性腫瘍粘膜内病変の組織型診断に有用と考えらえた。
索引用語 酢酸併用NBI拡大観察, surface pattern