セッション情報 ワークショップ21(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

胃・十二指腸におけるIEEの有用性と限界≪ビデオ≫

タイトル 内W21-10:

水中NBI拡大観察および水中酢酸NBI拡大観察による胃癌組織型診断

演者 友利 彰寿(佐久総合病院・胃腸科)
共同演者 小山 恒男(佐久総合病院・胃腸科), 岸埜 高明(佐久総合病院・胃腸科)
抄録 早期胃癌の治療方針を決定するうえで組織型診断は重要であるが、内視鏡による組織型診断学は確立していない。
【目的】水中でのNBI拡大観察(NBI拡大)および酢酸NBI拡大観察(酢酸NBI)の組織型診断の成績を明らかにすること。
【対象と方法】2009年2月から2010年12月の早期胃癌ESD治療例のうち、NBI拡大および酢酸NBIの内視鏡画像と病理組織像の対比が可能であった53病変を対象とした。
<方法>1. 水中NBI拡大で表面構造と血管構造から検討対象領域を設定。2. 3%酢酸を水中で対象領域に撒布し同部の表面構造を撮像。3. 実体顕微鏡観察下に対象領域の組織像が得られるよう標本を作製。4. NBI拡大と酢酸NBI画像で表面構造(構造の有無、融合および不明瞭化の有無)と血管構造(network(NW)の有無、血管異型の程度)によりretrospectiveに組織型を診断し、組織診断との正診率を検討。なお、表面構造あり、融合なしは血管構造に関わらずtub1とし、表面構造の融合や不明瞭化を認めた場合は血管構造から、NWありはtub1、NWなしは異型軽度をtub2、異型高度をporと診断した。
【結果】検討対象領域の組織型は、tub1:39病変, tub2:12病変, por:2病変であった。
NBI拡大診断は、tub1:31, tub2:16, por:2, 構造血管なく診断不可:4であり、組織型の正診率は、tub1:74%(29/39), tub2:67%(8/12), por:50%(1/2)で、全体では72%(38/53)であった。一方、酢酸NBI診断は、tub1:35 tub2:16, por:2であり、組織型の正診率は、tub1:87%(34/39), tub2:92%(11/12), por:100%(2/2)で、全体では89%(47/53)であり、NBI拡大診断より正診率は向上した。
NBI拡大で表面構造不明瞭と判断した33病変のうち、31病変で酢酸NBIにて表面構造が明瞭となり表面構造の正確な評価ができたことが、正診率向上の要因と考えられた。一方、酢酸NBIでの誤診6例は、表層と深部の組織型が不一致:3、軽度の融合を来したtub1:1、腺管密度の非常に高いtub1:1であった。
【結語】組織型診断において酢酸NBI拡大観察は有用である。
索引用語 NBI, 酢酸