セッション情報 ワークショップ21(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

胃・十二指腸におけるIEEの有用性と限界≪ビデオ≫

タイトル 消W21-11:

早期胃癌の深達度診断におけるNBI拡大内視鏡観察の有用性の検討

演者 菊池 大輔(虎の門病院・消化器科)
共同演者 飯塚 敏郎(虎の門病院・消化器科), 貝瀬 満(虎の門病院・消化器科)
抄録 【目的】NBI拡大内視鏡は、早期胃癌の範囲診断には必要不可欠なモダリティーとなりつつあり、日常臨床に広く応用されている。しかし、深達度診断における有用性は証明されていない。そこで、早期胃癌の深達度診断におけるNBI拡大観察の有用性を検証することを今回の目的とした。【方法】2010年1月より2010年12月にNBI拡大観察を行い、ESDにて一括切除された119症例を対象とした。1回の手技で複数病変を切除した症例、1回のNBI拡大観察にて複数の病変を観察した症例、病理学的に評価が困難であった症例などは除外した。NBI拡大画像のみを抽出した画像ファイリングを作成し、患者背景などを知らされていない3名の内視鏡医師によりD vesselの有無や微細模様の消失の有無などについてretrospectiveに判定を行った。画像ファイリングからは、通常内視鏡画像や弱拡大のNBI画像などは除去した。病変内に頻出するirregular microvesselと比較して径が3倍以上の血管をD vesselと定義した。2名以上の医師がD vesselありとした症例をV群、それ以外をN群とし両群間での臨床病理学的因子を比較検討した。【成績】V群は18例であり、N群は101例であった。平均年齢、性別、平均腫瘍長径、肉眼形態、部位、組織型、病理学的に瘢痕を有する病変の割合などは両群間に有意差は認められなかった。SM癌の割合は、N群では9.9%(10/101)であったが、V群では33.3%(6/18)と有意に高頻度であった(p=0.007)。D vessel有りをSM癌の診断基準とした時の正診率、感度、特異度はそれぞれ、81.5%、37.5%、88.3%であった。微細模様が消失と判定された症例は51例であり、そのうちSM癌の割合は19.6%(10/51)であった。V群でかつ微細模様が消失した症例でのSM癌の割合は38.5%(5/13)であり、N群では13.2%(5/38)であった。【結論】NBI拡大観察でD vesselを同定することは早期胃癌の深達度診断の一助になると考えられた。D vesselを同定することに、微細模様の観察を加味することでより診断率が向上する可能性が示唆された。
索引用語 NBI拡大内視鏡, 深達度診断