セッション情報 ワークショップ21(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

胃・十二指腸におけるIEEの有用性と限界≪ビデオ≫

タイトル 内W21-12追5:

分化型早期胃癌におけるEndocytoscopy画像の検討

演者 鶴留 一誠(名古屋大大学院・消化器内科学)
共同演者 宮原 良二(名古屋大・光学医療診療部), 後藤 秀実(名古屋大大学院・消化器内科学)
抄録 【背景】近年、超拡大観察が開発され、生体内での生きた細胞の観察が可能になり注目されている。Endocytoscopyによる観察は核を染色して行われるため、細胞のみならず、核の観察も可能となっており、その得られた画像は現在の診断根拠にされている生検組織像に匹敵するものと期待されている。【目的】分化型早期胃癌における生体内Endocytoscopy画像を病理組織像と比較し、その有用性について検討を行った。【対象と方法】2011年1月から2011年3月までに当院にてEndocytoscopy観察を行った分化型早期胃癌12例を対象とした。機種はOlympus社製GIF-Y0002 (最大拡大率380倍、一視野700×600μm)を使用し、染色液にはメチレンブルーもしくはCM混合液(Crystal violet and Methylene blue)を使用した。表面構造(整/不整/不明瞭)、核異型の有無(有/無/評価不能)につき検討を行った。【結果】メチレンブルーでは核がブルーに染色されるものの、細胞質の染色が不良であった。クリスタルバイオレットを併用すると細胞質が紫に染色され、表面構造の評価により有用であった。胃底腺粘膜では円形~楕円形の腺腔とそれを取り囲む腺窩辺縁上皮が、幽門腺粘膜では多角形および線状・弧状の腺窩辺縁上皮が描出された。癌部12例のうち10例にて評価可能な画像が得られた。癌部の表面構造は整0%(0/10)、不整90%(9/10)、不明瞭10%(1/10)であった。癌部の核異型の有無は有50%(5/10)、無0%(0/10)、評価不能50%(5/10)であった。【考察】分化型早期胃癌のEndocytoscopy像では、腺窩辺縁上皮の不規則な配列と大小不同の不整な腺腔が観察された。核異型の評価が不良であったが、胃は粘液除去が難しく、腫瘍部の染色が不良であることが障害となっていると考えられた。【結論】Endocytoscopyは分化型早期胃癌の診断に有用であると考えられるが、核異型の診断向上のための更なる工夫が望まれる。
索引用語 早期胃癌, endocytoscopy