抄録 |
【目的】十二指腸上皮性腫瘍に対するNBIおよび色素拡大観察の臨床的有用性について検討する.【対象と方法】当科にて2011年2月までにNBI拡大観察とcrystal violet拡大観察を行い, 病理診断との対比が可能であった十二指腸上皮性腫瘍 (乳頭部腫瘍を除く) 50例 (low grade adenoma (LGA) 32例, high grade adenoma (HGA) 12例, 粘膜内癌 (M-Ca) 6例) を対象とした. 肉眼型はIIa型33例, IIa+IIc型4例, IIc型5例, Is型6例, Ip型1例, Ip+IIc型1例, 平均径12.0±7.0 mm (4-30mm) であった. NBI拡大観察によるsurface pattern (regular/ irregular) とmicrovascular pattern (regular/ irregular), crystal violet拡大観察によるpit pattern (regular/ irregular) を判定し, 質的診断能について比較検討した.【結果】surface patternがirregular例は, HGA/M-Ca 67% (12/18), LGA 19% (6/32), microvascular patternがirregular例は, HGA/M-Ca 61% (11/18), LGA 9% (3/32), pit patternがirregular例は, HGA/M-Ca 67% (12/18), LGA 16% (5/32) であり, いずれもirregular例ではHGA/M-Caの割合が有意に高かった. また, surface patternがirregular例のHGA/M-Caに対する感度67%, 特異度81%, microvascular patternがirregular例の感度61%, 特異度91%, pit patternがirregular例の感度67%, 特異度84 %であり, NBI拡大診断とpit pattern診断能は同等であった.【結語】十二指腸上皮性腫瘍におけるHGA/M-CaとLGAの鑑別には, 色素不要で簡便なNBI拡大観察がfirst choiceである. 発表では実際の拡大観察手技のコツとポイントについてビデオを供覧する. |