セッション情報 |
ワークショップ22(消化器外科学会・消化器病学会合同)
高度進行・再発消化器癌治療におけるcancer boardの役割
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タイトル |
外W22-1:Cancer Boardの役割_診療科の枠を越えて治療方針の共有・一体化の形成
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演者 |
田中 栄一(北海道大大学院・腫瘍外科学) |
共同演者 |
七戸 俊明(北海道大大学院・腫瘍外科学), 平野 聡(北海道大大学院・腫瘍外科学) |
抄録 |
Cancer Boardとは各分野の専門家が集まって1つの症例に対する治療法を包括的に議論する場で、その結果、エビデンスに基いた有効性の高い集学的治療法を決定し、疾患の種類や病期、合併症治療、更には患者さんの意思を尊重した、最適で包括的な治療方針を提示・実践して行こうとする新たな診療体制と定義できる。 当科では、1990年代より内科、放射線科(放射線部)、および当科とで週1回水曜日夕方に肝胆膵領域癌を主として扱う議論の場として通称水曜会を恒常的に開催してきた。ここでは、難治性である肝胆膵領域癌の診断治療に関してそれぞれの専門家同士で忌憚なく議論してきた。このほかに、食道癌をはじめとして消化管癌に関して腫瘍内科と同様の会を持ち(通称木曜会)、さらに光学診療部と病理部との消化管悪性腫瘍の議論の場として通称金曜カンファ、肝胆膵領域癌の問題症例を月1回病理部と当科で検討する通称病理カンファをもち、症例に応じて栄養サポートチームとNSTカンファレンスを行い、診断治療から、病理診断まで総合的に情報の共有ができるような体制づくりを早くから行ってきた。 総ての癌腫についてひとつのBoardでまかなうことは困難な面は、消化器癌を大きく消化管癌と肝胆膵領域癌に分けて、検討症例の専門性を高く維持した。黄疸を伴うような胆膵領域癌に対して、内科と外科が共通の治療プロトコールで治療に当たることが可能となり、食道癌では放射線化学療法と手術の話を内科と外科の両方から話が聞けるように患者が両科を受診することが全例スムースにできるようになった。 当科の関わるCancer Boardは、病院としては緩和医療チームがすでに機能しているが、当科の診療の性格上診断治療にその力点が傾いており緩和医療の視点の充実が今後の課題である。また、抗悪性腫瘍治療剤と手術、放射線療法のより高度で緊密な組み合わせ治療によって難治性癌の治療、あるいは重複した悪性腫瘍への対応(固形癌と白血病の合併など)などに新しい道が開けてくるものと期待できる。 |
索引用語 |
Cancer Board, 集学的治療 |