セッション情報 ワークショップ22(消化器外科学会・消化器病学会合同)

高度進行・再発消化器癌治療におけるcancer boardの役割

タイトル 外W22-2:

cancer boardの現状と課題について

演者 道傳 研司(福井県立病院・外科)
共同演者 浅海 吉傑(福井県立病院・外科), 橋爪 泰夫(福井県立病院・外科)
抄録 【はじめに】近年の消化器癌治療法の多様化や患者・社会背景の複雑化に対しては、消化器外科医だけでは対応しきれない状況にある。【対象と方法】当院では、2009年11月よりcancer boardを週3回開催している。毎回、消化器外科医の他、病理医、消化器内科医、腫瘍内科医、呼吸器外科医、がん化学療法看護認定看護師等を含む看護師、薬剤師、放射線技師などが参加している。治療方針決定に難渋している症例に対しては、さらに幅広い職種も参加した『問題症例cancer board』を別に開催している。また、他施設から陽子線治療依頼があった患者で陽子線治療の是非の判断がむずかしい場合、cancer boardで検討を行う場合がある。【結果】cancer board は、治療ガイドラインを適応できない患者の治療方針決定、重要項目の見落とし回避の他、コメディカルの知識・技術向上や患者満足度向上などに役立っていると思われた。また、他施設から陽子線治療の依頼があった症例の中には、cancer boardでの検討の結果、切除手術が可能と判断された例もあり、紹介患者へ当施設のセカンドオピニオンとして治療方針を提示した例があった。一方、問題点として、医療従事者の時間外労働の増加があげられた。【考察ならびに結語】インターネットのホームページ上にcancer boardの運用状況を記載している多くの施設ではcancer board を臓器別や領域別に開催しており、週1回以上開催している施設が多かったが、各施設のcancer boardでの討議方法など、その詳細は不明であった。同様の症例に対してcancer boardが行われたとしても、各施設で異なる治療方針となる可能性があり、がん対策基本法におけるがん医療の均てん化という観点からは問題が残る。治療ガイドラインを適応できない症例のcancer boardについては、各施設がその内容を開示して意見を交換していくことが理想である。
索引用語 cancer board, 治療方針