セッション情報 |
ワークショップ22(消化器外科学会・消化器病学会合同)
高度進行・再発消化器癌治療におけるcancer boardの役割
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タイトル |
外W22-3:消化器系の合同カンファレンスを集約して成立させた多科cancer board ―地方大学病院での試み―
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演者 |
木南 伸一(金沢医大・一般・消化器外科学) |
共同演者 |
上田 順彦(金沢医大・一般・消化器外科学), 小坂 健夫(金沢医大・一般・消化器外科学) |
抄録 |
【目的】消化器癌においても、高度進行癌・再発癌の治療はcancer board (CB)で意見交換して臨むことが望ましい。しかし多科多職種で行うCBの設置および運用は容易ではない。人的資源の枯渇から多忙を極めている地方私立大学病院では一層困難である。当院では、腫瘍内科が企画運営する難治癌に対するCBとは別に、日常診療に密着した消化器癌の多科CBが稼働中である。その成立までのプロセスを紹介する。【方法】約3年前、他科との緊密な連携を図るべく関連科との合同カンファレンスを開始した。消化器内科とは、内科症例の外科治療の必要性に関する症例検討会を持った。内視鏡科とは、治療方針決定に絡む内視鏡像読影会を開始した。腫瘍内科とは外来通院化学療法を依頼する連絡会をもった。最初は個別にカンファレンスを開始したが、当科関与カンファレンスの数が多く負担が増大したため、これらカンファレンスを少しずつ統合、また病理にも参加してもらい、結果として多科合同の消化器癌CBが成立した。隔週ペースで運営し、各科より数例ずつ提示していただき、今後の治療方針に関し複数科で討議する。関連科には事前に討議予定症例をメールで案内するので、参加者は電子カルテで概要の事前把握が可能である。【結果】提示症例は現在進行形で治療中の症例であり、必ずしも難治症例でないため、討議内容は手術適応症例の紹介から再発癌の2次3次治療まで幅広い。検査を担当した消化器内科医が病理医から切除後病理結果説明を直接聞けたり、内視鏡医が再発癌化学療法の概要を理解したり、さらに研修医のプレゼンテーションの訓練と、複数科参加のメリットは多い。【結語】高度進行・再発消化器癌には集学的治療が必要で、患者様に最適治療を円滑に提供するためにはフットワークの軽いCBが有効である。大学病院に診療科の壁を越えたボードを設置運用するのは大変であるが、連絡会的なカンファレンスを設置し統合していく方法だと大きな困難なく導入可能であった。 |
索引用語 |
cancer board, 消化器癌 |