セッション情報 ワークショップ22(消化器外科学会・消化器病学会合同)

高度進行・再発消化器癌治療におけるcancer boardの役割

タイトル 外W22-4:

高度進行・再発食道癌治療における秋田大学食道cancer boardの役割と現状

演者 本山 悟(秋田大・消化器外科)
共同演者 神 万里夫(秋田大・消化器内科), 大塚 和令(秋田大・臨床腫瘍学)
抄録 高度進行・再発食道癌に対しては多くの診療科の専門知識と経験を集約させた集学的治療が必須であり、Cancer Board(CB)の役割はより重くなる。秋田大学病院では2003年に食道癌CBを立ち上げた。消化器内科、食道外科、放射線科、腫瘍内科、薬剤部で構成される食道癌CBを、週1回定期開催し、これまで延べ約1000例の食道癌患者の治療をCBで行ってきた。当院CBの特徴は、受診したすべての食道癌症例の最終臨床診断(深達度、リンパ節転移診断)と治療方針を、さらには再発患者の治療方針を決定する事、臨床試験の計画および実施を行うことである。高度進行食道癌:2009年以降、cStage IIB-III食道癌に対して、術前化学療法(CT)+手術、術前化学放射線療法(CRT)+手術を行っている。どちらの治療を行うかは臨床試験への参加、患者希望、医師主導による術前CRT(隣接臓器浸潤が起こる可能性が高いT3症例)の3パターンがある。臨床試験に参加した症例を除くと27例が術前治療+手術受けた。術前CT群 vs 術前CRT群で示すと、治療完遂率は60% vs 47%、主病巣縮小効果は増大/縮小で4/6例 vs 0/17例、観察期間は短いが現時点で再発:5例vs 2例、癌死:2例vs 1例であった。また、cStage IVa (T4)食道癌に対しては根治的化学放射線療法を行うが、REG I発現症例には、40Gy照射の時点でT4が解除された場合手術に切り替える臨床試験を展開している。再発食道癌:縦隔および腹部リンパ節再発に対して積極的にCRTを,臓器単独再発に対してはCTを基本とするが、症例によってはCRTを、頸部リンパ節単独再発に対してはリンパ節を切除した後にCRTを追加している。1989年から2006年までのR0手術例560例中、199例(36%)が再発し、19例(10%)が治療により根治(再発後3年以上生存)した。このうち17例(89%)でRTが行われていた。高度進行・再発食道癌治療ではCBで十分に治療法を吟味し、より高い治療成績を目指す必要がある。
索引用語 食道癌, cancer board