セッション情報 |
ワークショップ22(消化器外科学会・消化器病学会合同)
高度進行・再発消化器癌治療におけるcancer boardの役割
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タイトル |
消W22-6:転移性肝癌Cancer Boardの意義:東京大学の取り組み
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演者 |
長谷川 潔(東京大・肝胆膵外科) |
共同演者 |
高橋 道郎(東京大・肝胆膵外科), 國土 典宏(東京大・肝胆膵外科) |
抄録 |
【背景】通常、肝転移は高度進行stageとして切除適応外だが、一部で切除の有効性が認められている。とくに大腸癌肝転移には肝切除が唯一の根治的治療法とされるが、最近は新規抗癌治療の進歩やRFAの普及で、治療戦略は急速に複雑化しており、何が本当に適切な選択肢なのか、専門家ですら判断が難しくなっている。【方法】東京大学肝胆膵外科では以前より大腸癌肝転移に積極的に肝切除を行ってきた。個数に制限を設けず、肺転移も3個以内なら切除、術前化学療法は切除不能例や肺以外の遠隔転移合併例に限定、術後補助療法は原則的に行わない。この基本方針を遵守し、長期予後の向上を得てきたが、単一診療科だけで対応する限界も感じていた。そこで、2009年8月以降、当院では大腸外科、消化器内科、当科で大腸癌肝転移に関するミーティングを定期的に開いた。これに病理部や放射線科も加わり、2010年5月に転移性肝癌Cancer Boardを立ち上げ、大腸癌由来に限らず、転移性肝癌の症例と治療strategyの検討や情報交換に努めている。【結果】本Cancer Boardは1-1.5カ月に1度のペースで開かれ、具体的な症例検討とともに、毎回何らかのテーマを選んで、意見交換している。大腸癌肝転移については、1)肝門リンパ節転移陽性例の手術適応の再考、2)腫瘍数からみた術前化学療法の適応、3)肺転移合併例の切除の妥当性、4)新規術後補助療法に関する研究デザイン、などが検討課題となり、有意義な議論が展開された。一方で個々の症例検討、とくにRFAの適応については内科・外科の意見が分かれ、結論に至らないこともあった。2011年4月からは腫瘍内科医が新たに加わる予定で、第三者的立場からの参画が期待される。【結論】高度進行消化器癌治療では複数の診療科の密な連携が重要であり、Cancer Boardの果たすべき役割は大きい。ただし、議論の紛糾時の対処法や決定事項の拘束力などは未確立のままで、今後克服すべき課題であろう。 |
索引用語 |
転移性肝癌, Cancer Board |