セッション情報 ワークショップ22(消化器外科学会・消化器病学会合同)

高度進行・再発消化器癌治療におけるcancer boardの役割

タイトル 外W22-7:

高度進行・再発膵癌診療における神戸大学膵癌Cancer Boardの役割

演者 外山 博近(神戸大大学院・肝胆膵外科学)
共同演者 松本 逸平(神戸大大学院・肝胆膵外科学), 具 英成(神戸大大学院・肝胆膵外科学)
抄録 【背景】当院で膵癌診療に関わる主な診療科は、消化器内科、肝胆膵外科、腫瘍内科、放射線科、放射線腫瘍科、病理診断科の6科にわたる。以前は各科ごとに紹介患者を受けて診断、治療をすすめ、必要があると判断した場合のみ個別に他科へのコンサルトを行うシステムであった。2009年の局所進行膵癌に対する多施設共同臨床試験への参加を契機に、神戸大学膵癌Cancer Board (Kobe Pancreatic Cancer Board : KPCB)を設立した。【メンバー】上記診療科のうち病理診断科を除く5科(病理診断科は月1回の参加)。毎回20名前後が参加。【開催日】毎週木曜19時(1~1.5時間)【検討対象】全科の膵癌全症例【目的・内容】(1)進行度診断と治療の標準化 (2)高度進行、再発例における集学的治療、臨床試験参加の検討 (3)治療経過・結果の報告。特に臨床試験例については有害事象例の情報共有 (4)膵癌全症例のデータベース作成 (5)若手医師の系統的教育(月1回各科スペシャリストによるミニレクチャー開催) 現在までの活動を通じ、特に局所進行膵癌の検討に重要性を感じている。局所進行膵癌では進展度の評価により治療方針が大きく変わる可能性がある。切除の可否、化学療法、化学放射線治療、臨床試験への参加、粒子線治療等のオプション呈示まで、専門医といえども意見が異なることが少なくない。診断から治療に関わる全科で、全症例を同じテーブルでdiscussionすることは、合理的な治療選択にもはや不可欠であると実感している。また、高度進行・再発例では、治療が始まれば二次、三次治療の選択枝は少なく、ともすれば患者・医療者ともに迷走しかねない危険性がある。臨床試験、粒子線治療等のオプション治療、BSC、緩和医療の呈示も含めて、各科のコンセンサスを得た上で行うことは、患者の安心感、選択肢の倫理的・医学的妥当性を担保する上で極めて重要であると実感している。Cancer Boardでのdiscussionが有用であった症例等を呈示し、当院での取り組みと今後の目標を紹介したい。
索引用語 Cancer Board, 膵癌