セッション情報 ワークショップ23(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

大腸鋸歯状病変の内視鏡診断と治療

タイトル 内W23-1:

当センターにおける大腸鋸歯状病変の臨床病理学的検討:担癌例の検討も含めて

演者 川崎 啓祐(松山赤十字病院・胃腸センター(消化器科))
共同演者 小林 広幸(松山赤十字病院・胃腸センター(消化器科)DELIMITER福岡山王病院・消化器内科), 大城 由美(松山赤十字病院・病理科)
抄録 【目的】大腸鋸歯状病変の臨床的特徴を明らかにすること【方法】当センターにて内視鏡的ないし外科的に切除された大腸鋸歯状病変412病変を対象とした。412病変をSnoverらに準じてhyperplastic polyp(HP) 184病変、sessile serrated adenoma/polyp(SSA/P) 54病変、traditional serrated adenoma(TSA) 174病変に分類し比較検討した。また同期間に切除された管状・管状絨毛・絨毛腺腫(traditional adenoma;以下TA)7707病変も検討に含めた。【成績】平均病変径(mm)はHP 5.7、SSA/P 12.5、TSA 11.7でSSA/P、TSAは有意に病変径が大きく、存在部位(右側大腸/左側大腸)はHP 49/135、SSA/P 44/10、TSA 51/123でSSA/Pは有意に右側大腸に多く、肉眼型(隆起型/表面型)はHP 135/49、SSA/P 17/37、TSA 151/23でSSA/Pは有意に表面型が多かった(p<0.01)。拡大観察ではTSAは松毬状(HP 7.9%,SSA/P 0%,TSA 49.0%)の出現頻度が高く、SSA/P、TSAはシダの葉状(HP 7.9%,SSA/P 44.4%, TSA 35.3%)の出現頻度が高く、HP、SSA/Pは星芒状(HP 84.2%,SSA/P 92.6%,TSA 37.3%)の出現頻度が高かった(p<0.01)。担癌率はHP 0病変(0%)、SSA/P 5病変(9.3%)、TSA 8病変(4.6%)でSSA/P、TSAで有意に担癌率が高く(p<0.01)、またSSA/P、TSAの担癌例は病変径10mm以上で右側大腸に多く認められた。一方TAの担癌率は718病変(9.3%)であり、SSA/P(9.3%)とは差は認めなかったがTSA(4.6%)とに有意差を認めた(p<0.05)。各々の担癌例を比較すると病変径、肉眼型、組織型、深達度に差はなかったが、SSA/P、TSAの担癌例はTAの担癌例より有意に右側大腸に多かった(p<0.05)。【結論】SSA/PはHPに比しシダの葉状の出現頻度が高く、病変径、存在部位、肉眼型を考慮するとHPと鑑別できる可能性がある。SSA/PはTAと同等の担癌率を有し担癌例は右側大腸に多いことから、右側大腸に存在する大きさ10mm以上のSSA/Pは治療の適応と考えられた。
索引用語 大腸鋸歯状病変, SSA/P