セッション情報 ワークショップ23(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

大腸鋸歯状病変の内視鏡診断と治療

タイトル 内W23-2:

10mm以上の大腸Large Hyperplastic Polypに対する臨床病理学的検討

演者 岩館 峰雄(佐野病院(兵庫)・消化器センター)
共同演者 佐野 寧(佐野病院(兵庫)・消化器センター), 藤盛 孝博(獨協医大・病理学(人体分子))
抄録 [背景]  過形成性ポリープ(Hyperplatic Polyp:HP)は加齢とともに増加し、左側結腸または直腸に好発すると言われている。矢野らが報告したprospective studyによると、右側のHPの頻度は、全HP中9%を占めLargeHPは0.8%であった。現在まで報告されているadenocarcinoma in HP症例では、ほとんどの症例が右側結腸に存在し、大きさが10mmを超えるlarge HPを発生母地としていることから我々は10mm以上のLarge HPを積極的に切除してきた。
[目的]当院での10mm以上のLHPにおける臨床的及び病理学的特徴を明らかにすること。
[対象・方法] 当院で2007年4月から2011年3月までに内視鏡的に切除された10mm以上のLHP 57症例を対象とし、臨床情報、病理組織像を遡及的に検討した。
[結果]性別:男22 女35 年齢(平均):65歳(15-84) 場所:右側43 左側14 大きさ(平均):12.6cm(10-40)であった。
病理所見(優位組織型;左側:右側)は、Serrated Polyp 41(HP 3:21 SSA/P 2:16 SA 0:1)Non Serrated Polyp 16(Hyperplastic nodule 3:4 Tubular adenoma 5:2,Tubulovillous adenoma 1:1)であった。mixed lesionは4例あり、HPまたはSSA/Pとadenomaの共存が3例(HP+TA:2例 SSA/P+TA,SA:1例)で全て左側結腸に存在していた。癌を合併したのは1例で、上行結腸12mmにSSA/Pから直接発生したもので、adenomaの成分を含まなかった。
[結語]LargeHPは右側に多く、組織型の頻度はHP、SSA/Pの順に多かった。HPまたはSSA/Pと共存するadenomaは全て左側から発生しており、癌化した症例は右側のSSA/Pからadenomaを介さず直接発癌したことを考慮すると、左側と右側のLargeHPでは異なった発癌経路を辿る可能性が示唆される。
索引用語 Large Hyperplastic Polyp, 発癌