セッション情報 ワークショップ23(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

大腸鋸歯状病変の内視鏡診断と治療

タイトル 内W23-3:

大腸鋸歯状病変の内視鏡診断と治療適応に関する検討

演者 鴫田 賢次郎(広島市立安佐市民病院・内科)
共同演者 永田 信二(広島市立安佐市民病院・内視鏡科), 嶋本 文雄(県立広島大・人間文化学部健康科学科)
抄録 【目的】大腸鋸歯状病変の臨床病理学的特徴から内視鏡診断と治療適応について検討する。【対象と方法】対象は,内視鏡的に切除され大腸鋸歯状病変と診断した176例(HP21例,SSA/P102例,TSA32例,MP21例)。部位,大きさ,形態,pit pattern,NBI所見,組織異型度から大腸鋸歯状病変の内視鏡診断と治療の適応について検討した。鋸歯状病変はRiddellらに基づき分類し,SSA/Pの定義は樋口らの診断基準に基づいた。Pit pattern分類は工藤・鶴田らに準じ,さらに藤井らに基づきIIIH, IVH型に細分類した。NBI分類は,a:血管不可視,b:淡く茶色い間質からsurface patternが観察可能,c:濃い間質からsurface patternが観察可能, d:辺縁整な蛇行した血管を認める,e:2つ以上のパターンが混在に分類した。【結果】大腸内分布(右側/左側/直腸)はHP(6/10/5),SSA/P (54/36/12),TSA(4/10/18),MP(5/10/6)で,SSA/Pは右側大腸に多く存在した。形態(隆起/表面)はHP(1/20),SSA/P(49/53),TSA(32/0),MP(16/5)であった。Pit patternは,HPはすべてII型であった。SSA/PはII型77.7%,IIIL/IIIH型19.6%,IV/IVH型2.9%であった。TSA,MPは半数以上でIIIH,IVH型を認めた。NBI分類 (a/b/c/d/e)は,HP(21/0/0/0/0),SSA/P(76/25/0/1/0),TSA(0/5/21/5/1),MP(2/3/0/0/16)であった。以上の内視鏡像から,HPは95.2%が平坦型,II型pit,NBI分類:aであり,この3項目をHPの指標としSSA/Pと鑑別すると正診率は65%であったが,HPの指標に存在部位(左側または直腸)も含め4項目とすると正診率は82.9%と向上した。また,腫瘍径(-5mm/6-10mm/11mm-)別の高異型度腺腫と癌の割合は,SSA/Pで(0%/20%/60%),TSAで(0%/57.9%/80%),MPで(-/76.9%/62.5%)であり,5mmをこえる病変は内視鏡治療の適応と思われた。【結論】SSA/PはHPに類似したpit pattern,NBIを呈し鑑別困難であるが,存在部位を考慮することで診断能が向上した。また,大腸鋸歯状病変では5mmをこえる病変が内視鏡治療の適応と考えられた。
索引用語 大腸鋸歯状病変, 内視鏡診断