セッション情報 一般演題

タイトル 57:

8年3ヶ月間、悪性サイクルをたどった陥凹型胃癌の一例

演者 竹本 隆博(宇治徳洲会病院)
共同演者 山本 愛(宇治徳洲会病院), 平井 英基(宇治徳洲会病院), 康 天志(宇治徳洲会病院), 結城 武彦(宇治徳洲会病院), 斎藤 昌彦(宇治徳洲会病院), 大山 和恵(宇治徳洲会病院), 中藤 正樹(宇治徳洲会病院), 保田 光代(宇治徳洲会病院), 竹田 彬一(宇治徳洲会病院), 熊本 新一(宇治徳洲会病院 外科), 遠藤 清(宇治徳洲会病院 外科), 関岡 敏夫(宇治徳洲会病院 外科), 仲井 理(宇治徳洲会病院 外科), 山邊 博彦(宇治徳洲会病院 病理)
抄録 症例 62歳男性。平成7年8月15日肺炎の診断にて入院。入院中の8月31日、食欲不振精査のため胃内視鏡検査にて胃体中部小弯に2c型早期癌を疑わせる病変あり、生検を行ったところ、病理診断はGroup3であった。退院後10月4日の再検査でGroup1。平成8年8月7日、空腹時の心窩部痛を主訴に来院され、胃内視鏡検査にて同部位に胃潰瘍様所見あり生検にて4ヶのうち1ヶGroup4(adenocarcinoma suspected)。再生検のため9月11日胃内視鏡検査施行、胃潰瘍は瘢痕様となり、生検ではGroup1。さらに再生検のため10月9日胃内視鏡検査施行、前回同様胃潰瘍瘢痕様であり、再生検でも再びGroup1であった。3回目の再生検のため内視鏡検査を予約したが本人は来院されず、その後も来院されなかった。 
平成15年10月22日、胃癌検診にて前庭部後壁のレリーフ乱れを指摘され来院。10月29日に胃内視鏡検査で以前と同部位に2c型早期癌様病変あり、生検にてGroup4。11月29日再検にてadenocarcinoma Group5。12月9手術目的にて入院。術前の肺CTで肺転移の所見なし。12月12日に胃噴門側切除術施行。切除標本の病理診断はadenocarcinoma,well differenciated tubular,ss,ly0,v0,pPM(-),pDM(-)であった。腹水細胞診で悪性所見なし。 
この症例は病理組織所見を再検討してみると、8年3ヶ月の経過で2c型早期胃癌→3型早期胃癌→胃潰瘍瘢痕→胃潰瘍瘢痕→2c+3型早期胃癌類似進行胃癌への進展を観察し得た貴重な症例であると言える。陥凹型早期胃癌は、悪性サイクルをたどる例があり、生検で癌陰性となる時期もあり、いかに良性様に見えても、一度癌が疑われた例では厳重な経過観察と徹底した精査が必要であることが痛感させられた。
索引用語 悪性サイクル, 陥凹型胃癌の経過