セッション情報 ワークショップ23(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

大腸鋸歯状病変の内視鏡診断と治療

タイトル 内W23-4:

Pit pattern II・IIIH・IVHと診断した病変の病理組織学的検討

演者 山田 真善(国立がん研究センター中央病院・消化管内視鏡科)
共同演者 松田 尚久(国立がん研究センター中央病院・消化管内視鏡科), 斎藤 豊(国立がん研究センター中央病院・消化管内視鏡科)
抄録 【背景・目的】大腸鋸歯状病変の中で、sessile serrated adenoma / polyp (SSA/P) は散発性のMSI陽性大腸癌の前癌病変として注目されている。拡大内視鏡診断によりこれらの病変を特異的に診断することは、今後の重要な課題の一つと考えられる。本検討では鋸歯状病変の特徴的内視鏡所見を明らかにするため、II型pit(工藤・鶴田分類)と藤井らが提唱したIIIH型(羊歯状)およびIVH型(松毬様)pitと診断した病変について、病理組織診断との整合性を後向きに検討した。
【方法】2009年4月以降、当院でII型、IIIHおよびIVH型pitと診断した218病変中、拡大内視鏡画像および病理組織学的所見の再検討が可能であった176病変を対象とし、以下について検討した。[1] pit pattern診断と病理組織診断との対比 [2]病理診断がhyperplastic polyp(HP)あるいはSSA/Pであった病変を対象とし、色素拡大観察におけるpitの口径不同、腺管密度と辺縁不整に加え、NBI拡大観察における蛇行血管、血管の口径不同 (2倍以上)、非network型の異常血管の有無について検討した。
【結果】[1] IIIH型では、HPが6病変、SSA/Pが9病変、traditional serrated adenoma(TSA)が8病変、管状腺腫または管状腺癌が14病変であった。IVH型では、HPが2病変、SSA/Pが5病変、TSAが10病変、管状腺腫または管状腺癌が17病変であった。II型と診断した105病変では、HPが93病変、SSA/Pが11病変、管状腺腫が1例であった。[2] 検討した因子のうち、「pitの口径不同」および「非network型の異常血管」がSSA/Pで有意に多く認められる所見であった。
【結語】内視鏡的に鋸歯状病変と推定される病変でも、病理学的に鋸歯状病変と診断されたのは半数程度であった。一方、HPとSSA/Pの拡大内視鏡による鑑別は、pitの口径不同やNBI拡大における異常血管の存在が有用な所見の可能性が示唆された。
索引用語 鋸歯状, SSA/P