セッション情報 ワークショップ23(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

大腸鋸歯状病変の内視鏡診断と治療

タイトル 内W23-6:

大腸鋸歯状病変における拡大および超拡大内視鏡診断の有用性

演者 池原 伸直(昭和大横浜市北部病院・消化器センター)
共同演者 工藤 進英(昭和大横浜市北部病院・消化器センター), 浜谷 茂治(昭和大横浜市北部病院・病理科)
抄録 【はじめに】SSA/Pを含めた大腸鋸歯状病変の取り扱いについては、その概念や解釈において一定の見解が得られつつある。【目的】大腸鋸歯状病変とくにSSA/P(当施設においてAtypical HPと診断された病変)の内視鏡診断の有用性について検討した。【対象と方法】2001年4月から2010年12月までに内視鏡的および外科的切除された14456病変(早期癌2396病変)を対象とし、うち5mm以上の大腸鋸歯状病変488病変をHyperplastic Polyp (HP) 144病変, Sessile Serrated Adenoma/ Polyp (SSA/P) 47病変,Traditional Serrated Adenoma (TSA) 297病変の3群に大別した。内視鏡所見は、拡大観察をしたうえで星芒状、羊歯状、松毬状に分類し、他の臨床病理学的因子とともに検討した。またEndocytoscopy (EC)は43病変に対して行い、それぞれEC分類に従って評価を行った。【結果】腫瘍径は有意にSSA/P , TSAで大きく、SSA/Pは平坦型で右側結腸に多い傾向にあった (p<0.0001)。TSAの内視鏡所見は、発赤調で、羊歯状(48.8%)もしくは松毬状(39. 4%)を呈するものが多く認められた(p<0.0001)。さらにECではTSAにおいて大半がEC2とadenoma相当を示す所見であった。一方HPならびにSSA/PはEC1bであり過形成性ポリープ相当を示す所見であった。鋸歯状病変の担癌症例は、SSA/Pが3病変で、早期大腸癌の0.13%であった。いずれも右側結腸に位置し、非癌部の内視鏡所見は羊歯状であった。またTSAは20病変 (早期大腸癌の0.83%)で、隆起型12例、平坦型7例、陥凹型1例、右側結腸9例、左側結腸11例であった。非癌部の内視鏡所見は、ほとんどが羊歯状であった。ECでは癌部の領域において、EC3aないしEC3b(いわゆる癌相当から浸潤癌)と診断された。【結語】大腸鋸歯状病変においてTHPとSAの鑑別に拡大内視鏡は有用であったが、HPとSSA/Pの鑑別は困難であった。ECは大腸鋸歯状病変の診断に有効性が示され、特に担癌症例の質的診断に有効である可能性が示唆された。
索引用語 大腸鋸歯状病変, Endocytoscopy