セッション情報 ワークショップ23(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

大腸鋸歯状病変の内視鏡診断と治療

タイトル 内W23-7:

白色光とNBI拡大内視鏡によるSessile Serrated Adenoma/ Polypと過形成性ポリープの鑑別診断

演者 篠原 知明(佐久総合病院・胃腸科)
共同演者 小山 恒男(佐久総合病院・胃腸科), 堀田 欣一(静岡がんセンター・内視鏡科)
抄録 【はじめに】Sessile serrated adenoma/ polyp (SSA/P)と過形成性ポリープ (HYP)の内視鏡的鑑別は困難とされている。【目的】HYPとの鑑別に有用なSSA/Pの内視鏡的特徴を明らかにする。【対象と方法】2010年3月から2011年2月までの期間にNBI拡大観察後に内視鏡摘除を行った隆起型(IIa/Is型)大腸鋸歯状ポリープ66病変のうち、病理診断が不確実な病変、Traditional Serrated Adenoma、Mixed polypを除外したSSA/P 31病変とHYP 15病変を対象とした。病理診断基準はTorlakovicの分類に従った。検討項目は1) 占居部位、2) 病変長径、3) 白色光観察における血管拡張所見 (非拡大で視認可能なmeshed capillaryの限局性拡張)、4) NBI拡大観察におけるII型pit様surface pattern (SP)の大小不同/開大所見(木村らの定義に従う)とした。【結果】1) 占居部位はSSA/P の87%、HYPの60%が右側結腸であった。2) 病変長径中央値 (range)はSSA/Pが9 (2-23)mm、HYPが5 (3-12)mmであった。3)血管拡張はSSA/Pの42%、HYPの7%に認め、SSA/Pで有意に陽性率が高かった (p=0.014)。3) II型pit様SPの大小不同/開大はSSA/Pの81%、HYPの20%に認め、SSA/Pで有意に陽性率が高かった (p<0.001)。従来指摘されてきた右側結腸かつ長径10mm以上をSSA/Pと仮定すると、特異度は100%だったが感度は45% (14/31)と低く、55%のSSA/Pが診断できなかった。そこで、上記条件に血管拡張とII型pit様SPの大小不同/開大を加えると、感度87% (27/31)、特異度73% (11/15)と良好な結果が得られた。【考察】本研究は後ろ向き研究であり、内視鏡的に発見された全てのSSA/PとHYPを対象としていない制限がある。【結語】右側結腸/病変長径10mm以上に加え、白色光観察における拡張血管所見、NBI拡大観察におけるII型pit様SPの大小不同/開大所見はSSA/Pの内視鏡的特徴としてHYPとの鑑別に有用である可能性が示唆された。
索引用語 SSA/P, NBI