セッション情報 ワークショップ23(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

大腸鋸歯状病変の内視鏡診断と治療

タイトル 内W23-8:

画像強調観察を用いた鋸歯状構造を有する大腸病変の内視鏡的特徴所見の検討

演者 斎藤 彰一(東京慈恵会医大・内視鏡科)
共同演者 池上 雅博(東京慈恵会医大・病院病理部), 田尻 久雄(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】鋸歯状構造を有する病変の画像強調観察(IEE)における内視鏡的特徴所見につき検討した.【方法】当院における病理組織診断基準は鋸歯状構造を有する病変のうち腺底部で嚢胞状に腺管拡張をきたし、L字型もしくは逆T字型を示すようなものをsessile serrated adenoma/ polyp(SSAP)、増殖細胞が腫瘍表層部まで見られ、その部で紡錘形に変化した核の重層化を認めるものを鋸歯状腺腫(TSA)として検討を行った.自家蛍光内視鏡(AFI)ではマゼンタ調に変化する程度に応じて4段階に、Narrow Band Imaging (NBI)では血管拡張のない1型から軽度拡張の2型、著明な拡張の3型に分類して検討した.【成績】AFIで観察した71病変の検討では、過形成性ポリープ(HP)では88.8%に変化なく、SSAPでは61.3%に変化なく、38.7%がマゼンタ調に変化をきたした.TSAでは21.1%に色調変化を認めず、78.9%でマゼンタ調を呈した.粘膜内癌(M-Ca.)では全例で色調変化を認めた.一方、NBIの検討ではHPでは全例で1型、SSAPでは85.7%が1型、14.3%が2型であった.TSAでは35.0%が1型、25.0%が2型、40%が3型であった.M-Ca.では全例で2-3型であった.また間接的に認められる腺管開口部の形態で円形・卵円形の拡張した開口部が星芒状もしくは管状・絨毛状の開口部に混在してみられるか否かで分けて検討した.TSAを除外した66病変で、SSAPでは78.9%の症例で拡張pitを認めた.またHPでは35.7%の症例でのみ拡張pitを認めるのみであった.【結論】以上よりIEE観察がHP、SSAP、TSAの鑑別に有用と考えられた.AFI観察でマゼンタ調に変化するものはSSAPもしくはTSAの可能性が示唆された.また、NBI拡大観察でもHP,SSAP,TSAの鑑別に有用と考えられた。すなわち血管拡張がみられなくても、腺管開口部が拡張してるものではHPというよりはSSAPの可能性が考えられ、血管拡張が著明なものはTSAである可能性が示唆され、内視鏡治療の決定に有用と考えられた.
索引用語 鋸歯状腺腫, 画像強調観察