セッション情報 |
シンポジウム1
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タイトル |
111:白血球イメージングからみた難治性潰瘍性大腸炎に対する白血球除去療法の治療効果
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演者 |
奥山 祐右(京都第一赤十字病院 消化器科) |
共同演者 |
西田 憲正(京都第一赤十字病院 消化器科), 藤本 荘太郎(京都第一赤十字病院 消化器科) |
抄録 |
【目的】潰瘍性大腸炎に対する白血球除去療法は優れた緩解導入効果をもつ治療法であるが、難治例に対しては、白血球除去療法を併用するものの緩解導入が困難な症例を経験する。炎症性腸管障害調査研究班の定義にもとずく難治性潰瘍性大腸炎症例に対し、白血球除去療法を併用した症例について治療効果を検討し、治療前、後に施行したIn-111標識白血球シンチグラフィによる白血球イメージングが、効果判定に有用かどうかを検討した。【対象】平成13年12月より平成16年5月までに当科にて経験した難治性潰瘍性大腸炎10例を対象とした。内訳は男性6例、女性4例、年齢17歳~56歳、病型は全大腸炎型6例、左側結腸炎型4例、臨床的重症度分類では重症3例、中等症7例であった。治療は、炎症性腸管障害調査研究班の治療指針改定案にもとずき重症例では中心静脈栄養のもと、SASPあるいは5-ASA 製剤投与、ステロイド強力静注療法(プレドニン1mg/kg点滴静注)を施行し、さらに白血球除去療法(LCAP/GCAP)を早期より週2回併用した。中等症例では先行する治療を継続し、LCAP/GCAPを週1回併用した。治療前及び治療開始約2週間後にIn-111標識白血球シンチグラフィを施行し、腸管への集積の変化と治療効果との関連について検討した。【成績】難治性潰瘍性大腸炎のうち、LCAP/GCAPが奏功しステロイド減量、緩解導入できたのは3例、LCAP/GCAP開始後、一度は症状改善するも治療中、治療後3か月以内に再燃した症例が5例みられた。また不変、増悪例が2例にみられた。治療開始後約2週間目での白血球イメージングにてアイソトープ集積が明らかに低下・消失した4症例のうち3例ではいずれも緩解導入できたが、治療前に比べ、治療後のアイソトープ集積が同等、あるいは明らかに増強した3症例では外科手術を施行した1例、ステロイド増量を余儀なくされた症例を2例認めた。【結論】難治性潰瘍性大腸炎症例に対する白血球除去療法の緩解導入率は10例中3例で、十分とは言いがたい成績である。治療前・後での病変部位の白血球イメージングによるアイソトープの集積変化は治療効果をよく反映する。 |
索引用語 |
難治性潰瘍性大腸炎, 白血球イメージング |