セッション情報 一般演題

タイトル 121:

多発肝癌治療後に発症しエンドトキシン吸着が奏効した、肝硬変に合併した敗血症性ショックの一例

演者 柿本 一城(大阪医科大学 第二内科)
共同演者 野口 誉生(大阪医科大学 第二内科), 本合 泰(大阪医科大学 第二内科), 増田 大介(大阪医科大学 第二内科), 井上 俊宏(大阪医科大学 第二内科), 小島 博(大阪医科大学 第二内科), 宮地 克彦(大阪医科大学 第二内科), 有坂 好史(大阪医科大学 第二内科), 塩崎 道明(大阪医科大学 第二内科), 梅垣 英次(大阪医科大学 第二内科), 平田 一郎(大阪医科大学 第二内科), 勝 健一(大阪医科大学 第二内科)
抄録 症例は55歳、男性。他院で平成11年にC型肝硬変と診断され、平成12年から平成15年12月にかけて肺転移を伴う多発肝癌に対してRFA、TAEなどによる集学的治療を受けた既往がある。肝癌はコントロールが得られた状態で、肝機能もChild分類Aに保たれた状態であった。平成16年1月13日、嘔吐、下痢等の症状のため近医へ入院したが入院4日目に血圧低下、乏尿等のショック症状が出現したため当科に転院となった。血液検査で高度の炎症反応とDICを認めており、多臓器不全も呈していた。画像所見では明らかな感染のfocusとなる所見はなく、bacterial translocationが関与した敗血症を疑った。ショックに対しては輸液負荷、昇圧剤、利尿薬等にも反応がないため、エンドトキシン吸着を行った。吸着中よりショックから離脱し、後日判明した血液培養にてS.bovisが検出されたことから敗血症性ショックと診断した。以後は保存的治療により回復し第37病日に軽快退院となった。特発性細菌性腹膜炎(Spontaneous Bacterial Peritonitis:SBP)は肝硬変末期に出現する合併症として知られており、その機序には腸管免疫機能の破綻が推測されている。本例は肝硬変を背景に発症した敗血症の症例であったが、その機序にはSBPと同様に腸管免疫の破綻によるbacterial translocationが関与したと考えられた。稀な症例と考えられ文献的考察を併せて報告する。
索引用語 肝硬変, 敗血症