セッション情報 ワークショップ24(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

嚢胞性膵腫瘍の病態からみた治療

タイトル 内W24-1:

IPMNの悪性度評価およびフォローアップにおける造影法を含めたEUSの有用性

演者 鎌田 研(近畿大・消化器内科)
共同演者 北野 雅之(近畿大・消化器内科), 工藤 正俊(近畿大・消化器内科)
抄録 【目的】IPMN診療における造影法を含めたEUSの有用性を評価する。【対象】2010年3月までに,各種画像診断にてIPMNが疑われ,EUSを実施された390例。【方法】主膵管型,壁在結節の存在,有症状を手術適応とし,術前にUS,MDCT,MRCPを施行した。経過観察は6か月毎のEUSの他,US,CT,MRI等を組み合わせて行われた。初診時および経過観察期間中に通常型膵癌が随伴した場合は,比較検討のためUSおよびMDCTを追加で施行した。1)各種画像診断における壁在結節および随伴した通常型膵癌の描出率,2)EUSによるIPMNの良悪性診断,について検討した。IPMNは粘液の排泄を認める主膵管もしくは分枝膵管の拡張と定義した。【結果】初回EUS精査において,通常型膵癌が11例(3%)に随伴しており,4例はEUSでみで検出可能であった。IPMN42例(過形成1例、腺腫24,非浸潤6例,微小浸潤癌7例,由来癌4例)に対して外科切除がなされた。その内,分枝型は23例,主膵管型は19例でありIPMCはそれぞれ8例(35%),10例(53%)に認めた。42例中4例は膵炎症状のため手術となった。壁在結節描出率は,EUS; 90%,US; 24%,MDCT; 31%,MRI; 48%であり,9例の癌はEUSでのみ描出された。術前にEUSで計測した壁在結節高の平均値は,非癌で4±2mm,癌で25±10mmであり両群間で有意差を認めた。造影EUSを用いると,腫瘍結節と粘液塊の鑑別が容易となり,正確な結節高測定が可能になると思われた。127例の壁在結節が描出されない分枝型IPMNに対して経過観察を行った。経過観察期間は12~122か月,観察期間中央値は40か月であった。経過観察期間中にIPMN由来癌の発生は1例にも認めなかったが,通常型膵癌が6例(5%)に随伴した。その内4例はEUSのみで手術可能な段階で発見され,腫瘍は造影EUSにより,hypovascularに染影された。【結語】EUSは壁在結節およびIPMNに随伴した通常型膵癌の検出に有用であった。IPMN症例において通常型膵癌が高率に随伴するため,経過観察の際はIPMNの部位のみならず膵実質全体の厳重なスクリーニングが必要である。
索引用語 EUS, IPMN