セッション情報 ワークショップ24(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

嚢胞性膵腫瘍の病態からみた治療

タイトル 消W24-2:

膵液を用いたIPMN組織亜型分類の有用性 -IPMN切除適応への応用-

演者 原 太郎(千葉県がんセンター・内視鏡科)
共同演者 山口 武人(千葉県がんセンター・消化器内科), 池部 大(千葉県がんセンター・臨床病理部)
抄録 【背景】2006年IPMN国際ガイドラインが刊行され、本疾患に対する治療方針に一定の方向性が示されたが、CT、MRI、EUSなどの画像診断を中心とした良悪性鑑別診断に限界がみられることは明らかである。一方、WHO新分類においてIPMNは組織学的な形態および粘液形質発現様式により4亜型に分類された。なかでも頻度の高いIntestinal typeとGastric typeはMUC2染色によって分類され、Intestinal typeはGastric typeに較べて有意に癌の発生率が高いことが明らかにされている。したがって、術前にこれらの組織亜型分類を行うことは臨床上極めて重要であり、切除適応の判定にも有用と考えられる。【目的】膵液によるIPMN亜型分類の臨床的有用性を検討した。【対象と方法】対象は術前に膵液採取を行い切除により病理診断の得られたIPMN30例( low-grade dysplasia 3例、intermediate-grade dysplasia 9例、high-grade dysplasia 9例、Invasive carcinoma 9例)。切除標本を用いてMUC1、MUC2染色による組織亜型分類を行い、膵液細胞診検体はパパニコロー染色によるclass分類、さらにMUC1、MUC2染色による亜型分類を行った。切除標本と細胞診検体によるMUC染色結果を比較し膵液による亜型分類の診断能を検討した。【結果】切除標本のMUC1、MUC2染色の結果、Gastric Type14例(悪性21%)、Intestinal type11例(悪性71%)、Pancreatobiliary type 4例(悪性100%)、Oncocystic type1例(悪性例100%)に亜型分類された。切除標本と膵液細胞診検体によるMUC染色の結果は28/30例で一致し、膵液による亜型分類の正診率は93%であった。一方、同症例における通常の細胞診による癌の正診率は39%であった。【結語】IPMN診断において術前の膵液を用いて組織亜型分類を行うことは悪性化の予測として有用であり、手術適応への応用が可能と考えられた。
索引用語 IPMN, 組織亜型分類