セッション情報 一般演題

タイトル 162:

出血にて発症した副腎骨髄脂肪腫の一例

演者 奥野 貴史(彦根市立病院)
共同演者 西田 淳史(彦根市立病院), 妹尾 久美子(彦根市立病院), 横野 智信(彦根市立病院), 木藤 克之(彦根市立病院), 清水 尚一(彦根市立病院), 布施 建治(彦根市立病院)
抄録 【症例】43歳男性。主訴は左背部痛。2003年9月27日午前0時頃、突然左背部の激痛と嘔気が出現したため救急搬送された。既往歴は両側鼡径ヘルニア、高血圧を認めた。腹部所見は特に異常所見なかったが、持続する背部痛と嘔気を認めた。腹部CTでは左腎上極に占拠する円形腫瘤および後腹膜への出血を認め、副腎腫瘍、血管筋脂肪腫、腎細胞癌などが疑われた。腹部MRIではT1、T2強調像ともに高信号を示す部分があり、脂肪抑制T1強調像ではこれらの信号は消失する部分と消失しない部分があり、脂肪の存在と出血の存在が示唆された。以上より副腎由来の脂肪を含む腫瘍であり、骨髄脂肪腫が強く疑われた。しかし、痛みは消失し、また貧血の進行もないため、緊急性に乏しいと判断し待機的手術を選択した。10月27日に左副腎摘出術を施行し、左腎上極に102×84×50mmの軟性の腫瘍を認めた。病理組織では散在性に副腎実質、骨髄組織、脂肪組織、出血を認め、骨髄脂肪腫と診断した。【考察】副腎骨髄脂肪腫の多くは無機能、無症状の腫瘍であり,偶然発見されることが多い。腫瘍径が5cmを超えた症例は悪性腫瘍との鑑別、自然破裂の危険性からの回避を目的に摘出が望まれる。本邦にて自然破裂し診断にいたったケースは自験例を含め僅かに7例しか報告がなく、貴重な症例と考えられた。そのうち一例は出血性ショックを起こしており、健診、日常の診察などの場で発見した際は厳重な観察が必要と考えられた。
索引用語 副腎骨髄脂肪腫, 無機能性腫瘍