セッション情報 |
ワークショップ24(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
嚢胞性膵腫瘍の病態からみた治療
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タイトル |
消W24-3:IPMNと他臓器癌の合併は本当に多いのか?
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演者 |
川久保 和道(東京大・消化器内科) |
共同演者 |
多田 稔(東京大・消化器内科), 小池 和彦(東京大・消化器内科) |
抄録 |
【背景】IPMNには他臓器癌の合併が多いと報告されているが、すべてretrospective な解析によるもので、prospectiveに検討した研究はない。【方法】当科でIPMNと診断された642症例を、平均4.8年にわたって前向きに他臓器癌の発生を調べ、実際の発生数を、年齢と性別を適合させた一般日本人での期待発生数と比較した。【結果】39症例、40件の他臓器癌の発生を認めた(年率1.3%)。多かったのは、肺癌、大腸癌、胃癌、肝細胞癌、前立腺癌で、日本人に多い癌に一致した。それぞれの癌での標準化罹患率比(SIR)は統計学的に有意ではなく、すべての他臓器癌のSIRも0.94(95%CI:0.67-1.29)と有意ではなかった。一方、同コホートで17人の膵発癌があり、SIRは10.7(6.2-17.1)と有意に高かった。【結論】IPMNでは、膵発癌率は一般日本人と比べて有意に高いが、他臓器発癌率は一般日本人と同等である。従って、IPMNは膵発癌の危険因子で定期的な膵癌スクリーニングは重要であるが、膵以外の発癌には関与せず、他臓器がんについては一般的な年齢に応じた検診・人間ドックなどの対応で十分と考えられた。 |
索引用語 |
IPMN, 他臓器癌 |