セッション情報 ワークショップ24(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

嚢胞性膵腫瘍の病態からみた治療

タイトル 外W24-4:

嚢胞性膵腫瘍の治療選択におけるFDG-PET/CTの果たす意義

演者 岡本 光順(埼玉医大国際医療センター・包括的がんセンター消化器病センター消化器外科)
共同演者 小山 勇(埼玉医大国際医療センター・包括的がんセンター消化器病センター消化器外科), 利光 靖子(埼玉医大国際医療センター・包括的がんセンター消化器病センター消化器外科)
抄録 【背景・目的】FDG-PET/CTは腫瘍細胞密度の低い嚢胞性病変の診断には通常不利である。しかし嚢胞性膵腫瘍においては腫瘍壁のSUVmaxを選択的に測定することにより、悪性度の推測が可能になると予想される。今回我々は、嚢胞性膵腫瘍の治療選択におけるFDG-PET/CTの果たす役割を検討した。
【対象・方法】当院で切除され病理学的診断の確定した膵嚢胞性膵腫瘍28例を対象とした。IPMN 19例(adenoma 5例、non-invasive carcinoma 2例、minimally invasive carcinoma 3例、invasive carcinoma 9例)、MCN 3例(cystadenoma 2例、cystadenocarcinoma 1例)、SCN 4例、SPT 2例であり、術前FDG-PET/CTによって得られたSUVmax値を比較検討した。
【結果】IPMNにおけるnon-invasive carcinoma とminimally invasive carcinomaにリンパ節転移例はなく全例無再発生存中である(観察期間3-44ヶ月)。invasive carcinoma9例中4例にリンパ節転移を認め、術後再発を3例に認めた。SUVmax値はadenoma2.8(2.12-2.9)、non+minimally invasive carcinoma 3.4(2.4-3.9)、invasive carcinoma 5.4(2.5-5.85)でinvasive carcinomaが有意に高値であった。その他の疾患でのSUVmax値はMCN(cystadenoma)3.35(3.2-3.5)、 MCN(cystadenocarcinoma)4.7、SCN2.5(2.3-3.0)、SPT5.8(4.4-7.2)であった。
【結論】IPMNではFDG-PET/CTにより浸潤癌と非浸潤癌の鑑別が術前に行える可能性があり、非浸潤癌に縮小手術の選択が可能となるかもしれない。MCNではcystadenocarcinomaでSUVmaxが高値となる可能性があるが、現時点で治療選択に果たす意義は少ない。SCNではFDG-PET/CTの結果が他の検査結果の補完的役割を果たすにとどまる。SPTではSUVmax高値例が稀でなく、通常型膵癌との鑑別を他の検査により慎重に行う必要がある。
索引用語 嚢胞性膵腫瘍, FDG-PET/CT