セッション情報 ワークショップ24(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

嚢胞性膵腫瘍の病態からみた治療

タイトル 消W24-11:

膵漿液性嚢胞腫瘍の画像診断と臨床経過

演者 加藤 隆佑(手稲渓仁会病院・消化器病センター)
共同演者 真口 宏介(手稲渓仁会病院・消化器病センター), 高橋 邦幸(手稲渓仁会病院・消化器病センター)
抄録 【目的】膵漿液性嚢胞腫瘍(SCN)の悪性例は極めて稀であり、診断が確定できれば原則として経過観察が可能である。しかしながら、多彩な形態を呈し診断に苦慮する例や、経過中に増大傾向を示す例もみられる。今回、SCNの画像所見と臨床経過について検討する。【方法】2010年3月までに経験したSCN32例(切除2、経過観察30)を対象とした。男女比11:21 平均年齢61.9歳(24-92) 初診時平均腫瘍径29.1mm、占拠部位は頭部12, 体部15, 尾部5。経過観察例の観察期間は中央値18.0ヶ月(1-132)である。形態分類は、micro type、micro and macro typeに加えて、macro cyst (1つの嚢胞径が10mm以上) がdominantのものをmacro typeとし3型に分類した。検討項目は、1)形態分類別頻度 2)初発症状と発見契機 3)画像診断 4)臨床経過とした。【結果】1)micro type 16、micro and macro type 8、macro type 8であった。2)初発症状は無症状27、腹痛2、急性膵炎1、その他2。 発見契機はUS 25、CT 7であった。3)初診時のSCNの診断能に関しては、US単独で40.6%(13/32)、CT59.4%(19/32)であった。US,CT,MRCPを組み合わせた診断能は81.2%(26/32)であり、さらにEUSを加えることにより全例に小嚢胞の集簇部を確認し、SCNと診断可能であった。 4)経過観察例の画像所見の変化は、5mm以上の増大が12例(観察期間中央値91.0ヶ月)であり、doubling timeは43.9ヶ月であった。増大12例中、形態変化を認めたのが2例あり、1例がmicro and macro typeからmacro type 、1例はmacro typeから micro and macro type に変化した。5mm以上の縮小が1例あり、macro typeからmicro typeに変化していた。【結論】SCNは無症状でスクリーニングあるいは他疾患精査目的のUSで発見されることが多い。形態ではmicro typeが最も多かったが、macro typeも少なくない。多くの症例はUS+CT+MRCPで診断可能であるが、EUSを付加することにより全例診断可能であった。経過観察により、37.5%(12/32)に腫瘍径の増大、3.1%(1/32)に縮小、9.3%(3/32)に形態の変化がみられた。
索引用語 膵漿液性嚢胞腫瘍, SCN