セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭-基礎

タイトル 消P-1:

食道扁平上皮の分化誘導におけるNotch signalingの役割について

演者 大橋 真也(北野病院・消化器センター)
共同演者 夏井坂 光輝(Division of Gastroenterology, University of Pennsylvania), 長沼 誠二(Division of Gastroenterology, University of Pennsylvania), 宮本 伸樹(Division of Gastroenterology, University of Pennsylvania), 中川 裕(Division of Gastroenterology, University of Pennsylvania)
抄録 【目的】細胞の分化誘導のコントロールにおいてNotch signalingが重要な役割を果たすことは、血球系、腸管上皮、膵臓、および皮膚の細胞などにおいて広く示されている。本研究は、食道扁平上皮の分化誘導におけるNotch signalingの役割を明らかにする事である。【方法】ヒトの食道上皮より分離培養した食道扁平上皮細胞の培養液にカルシウムを添加し食道扁平上皮細胞の分化誘導を行った。分化誘導の評価には早期分化マーカーであるCK13, Involucrinを測定した。また、カルシウム刺激後のNotch receptorの発現をreal time PCR法、Western blotting法にて評価した。Gamma-secretase inhibitor (GSI)およびDominant negative mastermind-like 1 (DNMAML1)を用いてNotch signaling抑制時の分化誘導の影響を検討した。3D培養法にて、食道扁平上皮細胞の再構築を行い、Notch signalingの役割を検討した。食道癌における分化度とNotch receptorの発現を免疫染色法にて検討した。【成績】ヒト食道扁平上皮細胞にカルシウムを0.9mMの濃度で3日間刺激すると、CK13, Involucrinが高発現し、扁平上皮細胞の分化が誘導された。この分化誘導の際、Notch1, Notch3, HES5が有意に上昇した。GSIおよびDNMAML1を用いてNotch signalingを抑制する事によってCK13, Involucrinの発現が有意に抑制され、3D培養においても食道扁平上皮細胞の分化再構築が有意に抑制された。食道癌標本の免疫染色にて、分化度とInvolucrinの発現は相関があり、またNotch1, Notch3の発現とも有意な相関が見られた。【結論】食道扁平上皮の分化誘導においてNotch signalingが重要な役割を果たす事が示唆された。
索引用語 食道扁平上皮, Notch signaling