セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭-基礎

タイトル 消P-2:

ラット逆流性食道炎モデルを用いた食道粘膜傷害に対するエストロゲンの影響

演者 眞坂 智寛(東北大病院・消化器内科)
共同演者 飯島 克則(東北大病院・消化器内科), 遠藤 博之(東北大病院・消化器内科), 浅沼 清孝(東北大病院・消化器内科), 宇野 要(東北大病院・消化器内科), 浅野 直喜(東北大病院・消化器内科), 阿部 靖彦(東北大病院・消化器内科), 小池 智幸(東北大病院・消化器内科), 今谷 晃(東北大病院・消化器内科), 下瀬川 徹(東北大病院・消化器内科)
抄録 【目的】食道胃接合部癌は欧米を中心に急速に増加しており、その発生率は男性で圧倒的に多い。その要因の一つに、バレット食道やびらん性逆流性食道炎の発生が男性に多いことが挙げられる。我々は、雄ラット逆流性食道炎モデルにおいて外因性の一酸化窒素(NO)暴露が食道傷害を増悪させること、またNOの食道傷害増悪作用に対してエストロゲンが抑制的に働いている可能性があることを報告した。食道の炎症には肥満細胞(MC)が関与することが報告されており、逆流性食道炎モデルにおける外因性NOと、エストロゲンおよびMCとの関連を明らかにすることを目的とした。【方法】性周期の確立した10週齢以上の雌雄ラットに対して確立された逆流性食道炎モデルを作製。翌日より0.1%亜硝酸ナトリウム水溶液および1%アスコルビン酸入り粉末食を与え(外因性NO暴露)、モデル作製一週後に食道を摘出し、食道粘膜傷害面積と粘膜傷害部位におけるMPO活性をそれぞれ測定した。さらにモデル作製一週前の雌に対して卵巣摘出術(OVX)を行い、同モデルに対するエストロゲン投与やMCの安定化剤であるケトチフェン投与による影響も比較検討した。【成績】外因性NO暴露により、雄では粘膜傷害が増悪したが、雌では有意な変化を認めなかった。OVX後の雌にエストロゲンを投与した群では、NO暴露による粘膜傷害増悪は認められなかったが、エストロゲンを投与しない群では粘膜傷害は増悪した。OVX後の雌にエストロゲンを投与せずNOに暴露させた群では、ケトチフェンの投与により粘膜傷害が抑制された。OVX後の雌にエストロゲンを投与してNOに暴露させた群では、ケトチフェンを投与しても、エストロゲン投与による粘膜傷害抑制以上の抑制効果は認められなかった。【結論】外因性NOの食道粘膜傷害増悪作用に対してエストロゲンは抑制的に働き、その粘膜傷害抑制作用はMCを介する機序で起こることが推測された。
索引用語 逆流性食道炎, エストロゲン