セッション情報 シンポジウム18(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

食道表在癌、早期胃癌に対するESDの長期予後

タイトル 内S18-11:

食道扁平上皮癌に対するESDの長期成績

演者 若槻 俊之(佐久総合病院・胃腸科)
共同演者 小山 恒男(佐久総合病院・胃腸科), 高橋 亜紀子(佐久総合病院・胃腸科)
抄録 【目的】食道扁平上皮癌(SCC)に対するESDの長期成績を明らかにすること。【方法】2000年1月から2008年3月に食道SCCにESDを施行し、3年以上経過観察した218例247病変を対象とした。年齢68歳 (42-91)、病変部位Ce/Ut/Mt/Lt/Ae:4/21/160/52/10、肉眼型0-I/0-IIa/0-IIb /0-IIc:4/19/22/202、観察期間70ヶ月 (4-152ヶ月)、腫瘍長径23mm (1-85mm)、深達度EP/LPM/MM/SM1/SM2:78/113/34/13/9、追跡率は生死確認99.5%であった。【成績】1.局所再発率0%。2.同時多発食道癌25例 (12%)、異時多発食道癌58例 (27%) (前20例9%、後47例22%)、異時性他臓器癌57例 (26%) (前49例23%、後17例8%)。3.追加治療と予後(1)EP/LPM群:191例全例がly陰性で追加治療は行わず、他病死31例、原発死0例。(2)MM/SM1群47例中ly陽性11例、5例に追加治療、手術例は胸膜転移再発し27ヶ月後に原病死。CRT4例中3例は無再発生存中、1例は照射外にリンパ節再発を来たし追加RTにて113カ月間生存中。ly陽性、追加治療無し6例中3例は無再発生存中。3例でリンパ節再発を認めCRTが施行された。この内1例はESD後78カ月間担癌生存中、他2例は原病死。ly陰性36例中CRTを施行した5例は再発なく、追加治療なしの31例中1例にリンパ節再発を認め10ヶ月後に原病死した。(3)SM2群9例中ly陽性5例中4例にCRT。3例は無再発生存中、1例にリンパ節再発を認め11ヶ月後に原病死した。ly陽性で追加治療無しの1例は再発なく50ヶ月後に他病死した。ly陰性の内2例にCRTを追加し無再発、追加治療なしの2例も無再発生存中である。4.3年全生存率および原病死率はEP/LPM群 (94/100%)、MM/SM1群 (89/96%)、SM2群 (89/89%)。【結論】MM/SM1、ly陰性であれば追加治療なしでも再発率は1/31(3%)と許容範囲であった。しかしly陽性、追加治療なしでは再発率50%であり、ly陽性であれば追加治療を要する。CRTを追加施行したSM2、6例中5例は無再発生存しており、ESD+CRTはSM2に対する有力な治療戦略と思われた。
索引用語 食道扁平上皮癌, ESD