セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭-基礎

タイトル 消P-5:

十二指腸液逆流における食道発癌の機序

演者 橋本 直樹(近畿大・保健管理センター)
共同演者
抄録 (目的)食道癌の頻度が過去20年間、急激に増加し、中でも胃切除食道癌の頻度が増加してきた。胃切除後食道癌の占拠部位は大部分、下部食道で、一方非胃切除食道癌は中部食道であった。胃切除例は、いづれも癌の占拠部位の近傍はreflux esophagitisが著明であった。すなわち、胃切除群は十二指腸液の慢性の逆流により、reflux esophagitis→dysplasia→carcinoma sequenceという構図が想定された。そこで、十二指腸液の食道への逆流が食道に与える影響についてラットモデルにて検討した。(方法)Wistar系ラットを用い、胃全摘後、十二指腸を食道に端々吻合し、十二指腸液が直接、食道に逆流する十二指腸液食道逆流モデル(EDA) (n=30), Sham ope (Control) (n=10)を作成した。術後35週目に犠死させ、食道組織の病理学的検討、PCNA活性、組織中PGE2,免疫染色によるCOX2,P53を測定した。(結果)EDAでは、下部食道壁は短縮,肥厚拡張し、内腔は縦走潰瘍が見られ、組織学的にも、びらん、再生肥厚、基底膜過形成がみられ、Dysplasia 100%, SCC 35%,ADC 30%認められた。PCNA LIもControlに比し、有意に高値を呈した。またArachidonic acidの代謝物のPGE2,COX2はControlに比し有意に高値を呈した。しかし、wild type p53においては、ADCは染色されたが、SCCは染色されない特色があった。(結語)十二指腸液逆流による慢性炎症により、Arachidonic acidの代謝物のPGE2,COX2は食道癌の発生の重要なmediatorであった。しかし、ADCとSCCにおいて、免疫染色的には、ADCはwild type p53に染色される特徴がみられた。
索引用語 十二指腸液, 食道癌