セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭-基礎

タイトル 消P-6:

食道ケラチノサイトの伸展受容体TRPV4イオンチャネルの局在、機能と治療標的

演者 三原 弘(富山大・3内科)
共同演者 鈴木 庸弘(富山大・3内科), 杉山 敏郎(富山大・3内科)
抄録 【目的】胃食道逆流症(GERD)は、多因子疾患であり、機械、熱刺激に対する食道過敏も原因の一つと考えられている。Intraganglionic laminar endings(IGLE)は、迷走神経の機械感受性求心路の終末構造で、ATP受容体を介して機械刺激の中枢への伝達を調整していると考えられている。Transient receptor potential channel vanilloid 4 (TRPV4) イオンチャネルは、伸展、温度、低浸透圧、アラキドン酸代謝物を受容するイオンチャネルだあるが、食道における分布と機能の詳細は全く明らかにされていない。【方法】RT-PCR法と免疫染色法により、マウス食道におけるTRPV4チャネルの発現を確認した。Ca2+-イメージング法、パッチクランプ法を用いて、野生型及びTRPV4欠損単離食道ケラチノサイトにおけるTRPV4の機能的発現を確認した。ルシフェリン・ルシフェラーゼ発光系を用いて、野生型及びTRPV4欠損単離食道ケラチノサイトからのATP遊離を比較した。【成績】マウス食道ケラチノサイトには、TRPV2、TRPV3、TRPV4、ATPトランスポーターであるVNUTが発現していた。Ca2+-イメージング法、パッチクランプ法により、食道ケラチノサイトにはTRPV4が発現し、かつ機能的であることが確認され、温度、伸展刺激によりTRPV4を介して細胞内にCa2+が流入した。TRPV4の活性化により、ATP遊離が増加し、それは、VNUTを発現しているATP含有濾胞のエキソサイトーシスによることが示唆された。【結論】温度、伸展刺激によって活性化するTRPV4は食道上皮ケラチノサイトに発現しており、ATPのエキソサイトーシスに関与していた。TRPV4は、食道の機械刺激・温度過敏性に関与している可能性があり、GERDの病態、症状に関与している可能性が示唆された。TRPV4調整薬は、GERDに対する新しい分子標的治療薬となりえる。
索引用語 GERD, TRPV4