セッション情報 一般演題

タイトル 67:

選択的動脈内カルシウム注入負荷後肝静脈サンプリング(ASVS) と 超音波内視鏡(EUS)が局在診断に有用であったインスリノーマの1症例

演者 横田 美紀(市立札幌病院消化器科)
共同演者 小原 俊央(市立札幌病院消化器科), 横山 仁(市立札幌病院消化器科), 永坂 敦(市立札幌病院消化器科), 佐野 公昭(市立札幌病院消化器科), 西川 秀司(市立札幌病院消化器科), 樋口 晶文(市立札幌病院消化器科), 竹内 淳(市立札幌病院内分泌代謝内科), 柳澤 克之(市立札幌病院内分泌代謝内科), 久保 公三(市立札幌病院画像診療科), 内野 隼材(市立札幌病院外科), 山下 健一郎(市立札幌病院外科), 三澤 一仁(市立札幌病院外科), 佐野 秀一(市立札幌病院外科), 小川 弥生(市立札幌病院病理科), 佐藤 英俊(市立札幌病院病理科)
抄録 インスリノーマは血管に富む例が多く、局在診断に腹部CTやMRI、血管造影が有用とされているが、腫瘍が小さい場合には、同定できないことがある。今回、我々は局在診断が困難であった症例に対し、ASVSにて局在診断の後、EUSで腫瘍を描出し得た症例を経験したので報告する。症例は55歳女性。平成15年1月頃より徐々に過食と体重増加を認めていたが放置していた。同年6月、意識消失発作を起こし、近医脳神経外科で脳MRIを施行するも異常は認めなかった。しかし、健康診断での空腹時血糖は30mg/dlと低血糖であったため、精査目的に近医内科に入院された。精査するも原因の特定には至らず、平成15年12月に当院内分泌代謝内科を紹介受診され、平成16年3月に同科入院となった。入院中のターゲスは50~80mg/dlと終日低値を認め、インスリン(μU/ml)/随時血糖値(mg/dl)=0.776、グルカゴン負荷試験・75gOGTT負荷試験でインスリンの過剰分泌を認めたことより、インスリノーマが疑われた。しかし、腹部超音波・CT・MRIを施行するも、腫瘍の同定には至らなかったため、ASVSを施行した。結果、腫瘍濃染は明らかではなかったが、上腸間膜動脈、胃十二指腸動脈にてインスリンの異常高値を認め、膵頭部のインスリノーマが強く示唆され、平成16年4月に手術目的に当院外科に転科された。外科入院中にEUSを施行したところ、膵頭部に径10mm大の低エコー領域を描出することができた。4月14日に幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行。膵頭部に径11mm大の境界明瞭な腫瘍を認め、病理組織学的には小型類円形の核を有した腫瘍細胞が索状・充実性に増殖している所見が認められ、免疫染色においてインスリン陽性であり、インスリノーマと診断された。
索引用語 インスリノーマ, 局在診断