セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭-良性疾患1

タイトル 消P-9:

プライマリケアの場におけるGERD関連咽頭異常感症患者の消化管症状。その治療経過からの考察

演者 松原 英俊(武田総合病院・総合診療科)
共同演者
抄録 【目的】咽喉頭異常感症はプライマリ・ケアの現場ではよく遭遇するcommon diseaseであり、GERDとの関連が強い病態である。しかしGERD関連咽喉頭異常感症患者のわずか7%にしか胸やけを、27%にしか呑酸を認めない。また咽喉頭異常感症の治療は数ヶ月に及ぶことが珍しくない。このように治療も診断も困難と思われる病態であり、たとえ仮に消化器症状がある場合でも、その治療効果が咽喉頭異常感症の治療効果を予測できるのかも不明である。このため咽喉頭異常感症患者における消化器症状の経過と咽喉頭症状の経過との関連について解析を試みた。【方法】2001年1月から2006年4月の期間外来を受診し初診時アンケート調査に協力頂きGERD治療により症状改善を認めた症例で、アンケート調査の主訴の項目に咽喉頭症状を記載した15症例を解析の対象とした。症状日誌から消化器症状(胸やけ,呑酸,心窩部痛、腹満感)と咽喉頭症状(痛み,つまり感,苦しさ,違和感)について治療経過中の症状の程度と症状係数(程度度数+頻度度数)の相関関係につきスピアマンの順位相関係数で検定した。【成績】1例は症状日誌記載が無く、1例は症状日誌の記載が不適切だったため13例(男性3例、女性10例、年齢20歳~60歳)につき解析を行った。7例には消化器症状が無く、胸やけを認めた4例中3例で、呑酸を認めた5例中4例で、腹満を認めた2例全例で咽喉頭症状との相関関係を認めた。心窩部痛は1例で認めたが、相関関係は認めなかった。6例中いずれかの消化器症状で咽喉頭症状と相関関係を認めたのは5例で、認めなかった1例はごく軽度の呑酸を初診日のみ認めるなど消化器症状が非常に乏しかった。6例中5例で消化器症状は咽喉頭症状よりも軽度でありより早期に改善した。【結論】咽喉頭異常感症患者に治療的診断を行う場合、消化器症状のモニタリングを同時に行うと治療効果について予測しうる可能性が示唆された。
索引用語 胃食道逆流症, 咽喉頭異常感症