セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭-良性疾患1

タイトル 消P-11:

胃食道逆流症(GERD)治療実態調査-プロトンポンプ阻害薬による逆流性食道炎治療効果の多施設共同後ろ向き試験-

演者 樋口 和秀(大阪医大・2内科)
共同演者 城 卓志(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 中田 浩二(東京慈恵会医大・消化管外科), 春間 賢(川崎医大・消化管内科)
抄録 【目的】プロトンポンプ阻害薬(以下PPI)の投与を受けた逆流性食道炎患者の内視鏡検査所見を後ろ向きに調査し、PPIの治療効果と関連する要因を明らかにする。
【方法】本調査は多施設共同後ろ向き試験として、2010年10月から2011年3月までの間に、GERD研究会会員の所属する46の医療施設で実施した。2005 年8 月~2010年7 月に内視鏡検査を実施した20歳以上の患者の中で、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールのいずれかのPPI を8 週間以上投与し、PPI 投与前4 週間以内にLA 分類グレードA 以上の逆流性食道炎が確認され、PPI 投与8 週後以降に内視鏡検査のLA 分類所見が記録されている患者の診療録を、各施設連続20症例分調査した。選択基準を満たす患者の診療録から、内視鏡検査所見および逆流関連症状の重症度、頻度、患者背景、PPI 投与量、PPI 投与期間などの情報を調査票に記入し、回収して集計・解析を行った。
【結果】2011年3月31日までに、全国21の医療施設から患者382人の調査票が回収され、条件を満たす318人について解析を行った。逆流性食道炎診断時の平均年齢は64.3±12.7歳、男女比は65:35で、診断時の重症度はLA分類グレードA 121人(38.1%)、B 106人(33.3%)、C 59人(18.6%)、D 32人(10.1%)であった。PPIの平均投薬期間は403±376日であった。PPI投与8週後以降の重症度はLA分類グレードN 95人(29.9%)、M 98人(30.8%)、A 70人(22.0%)、B 34人(10.7%)、C 16人(5.0%)、D 5人(1.6%)であり、逆流性食道炎の治癒にいたらないグレードA~Dの患者が125人(39.3%)認められた。その中で、重症度の改善がみられない患者が69人(21.7%)認められた。
【結論】GERD治療の第一選択薬とされるPPIを8週間以上投与しても、逆流性食道炎の治癒や重症度の改善が得られない患者が一定の割合存在することが確認された。
索引用語 逆流性食道炎, プロトンポンプ阻害薬