セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭-良性疾患1

タイトル 消P-13:

PPI抵抗性GERDに対するH2RA追加投与の有効性の検討

演者 木幡 幸恵(大阪市立大大学院・消化器内科学)
共同演者 藤原 靖弘(大阪市立大大学院・消化器内科学), 町田 浩久(大阪市立大大学院・消化器内科学), 岡崎 博俊(大阪市立大大学院・消化器内科学), 谷川 徹也(大阪市立大大学院・消化器内科学), 山上 博一(大阪市立大大学院・消化器内科学), 渡辺 憲治(大阪市立大大学院・消化器内科学), 渡辺 俊雄(大阪市立大大学院・消化器内科学), 富永 和作(大阪市立大大学院・消化器内科学), 荒川 哲男(大阪市立大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】GERD治療の第一選択薬はPPIであるが,中にはPPI抵抗性を示す患者が存在する。その病態として夜間の不充分な酸分泌抑制,すなわちNAB(nocturnal acid breakthrough)が考えられている。そこで,当院でのPPI抵抗性GERD患者に対し,PPI継続投与の上でのH2RAの追加処方の有用性を検討した。【対象と方法】典型的GERD症状を有し,PPI通常量投与でも症状の改善しない35例(男性13例,女性22例,平均年齢67.8歳,NERD20例,ERD15例)に対し,朝食時のPPI(rabeprazole 10 mgまたはomeprazole 20mg)に,夕食時あるいは眠前のH2RA(lafutidine 10mg,ranitidine 150mg,famotidine 20mg,nizatidine 150mgのいずれか)を追加投与し,4週後の症状の改善度を検討した。Fスケールの変化や各種内視鏡的所見等についても検討した。【成績】 問診による自覚症状の改善度は35例中,改善が23例,不変が8例,増悪が4例であった。H2RA追加投与前後のFスケールが得られた例においては,合計点数に追加前後で有意な差は認めなかったが,酸逆流関連項目ではスコアが減少する傾向を示した。特に自覚症状改善例においては,運動不全関連点数には変化はなかったが合計点数および酸逆流関連点数は有意に減少していた。内視鏡所見別の解析では,NERD,逆流性食道炎の重症度,バレット食道の有無によっては改善度に有意な差は認めなかった。胃粘膜萎縮は35例中13例に認めたが,22例では認めず,高齢者においても萎縮を認めない例が比較的多かったが,萎縮の有無による改善度には差を認めなかった。【結論】PPI通常量で症状の改善しない症例においては,H2RAの眠前投与が有効な症例が存在する。特に酸逆流関連点数が有意な低下を示したことから,残存する酸逆流がPPI抵抗性の原因となっていた可能性が示唆された。
索引用語 PPI抵抗性GERD, H2RA