セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭-良性疾患2

タイトル 消P-16:

アカラシア取り扱い規約(第3版)における拡張型分類の問題点:新規約での改定に向けて

演者 片田 夏也(北里大・外科)
共同演者 柴田 智隆(北里大・外科), 根本 昌之(北里大・外科), 三重野 浩朗(北里大・外科), 山下 継史(北里大・外科), 桜本 信一(北里大・外科), 菊池 史郎(北里大・外科), 渡邊 昌彦(北里大・外科), 小谷 承子(北里大東病院・放射線科)
抄録 食道アカラシア(ach) 取り扱い規約(第3版)における各拡張型の病態の差を比較検討し,その問題点を明らかにする.【対象と方法】対象はachと診断した治療前の85症例.対象例を規約第3版に従い拡張型により、紡錘型(Sp):39例,フラスコ型(F):33例,S字型(S):13例に分類した.各拡張型別に治療前の年齢,性別,病悩期間,食道造影における食道最大横径,食道内圧検査によるLES圧,LES弛緩率,下部食道蠕動波高を比較した.【結果】各群の結果を示す.年齢(mean±SD)はSp:40.6±16.0, F:39.2±13.4, S:49.0±11.6とSpとFに有意差はなかったが(NS),Sで有意に高かった(p<0.05).性別(M/F)はSp:23/16, F:15/18, S:4/9とSpでは男性優位,Sは女性優位であった.病悩期間(年)はSp:4.0±4.8, F:4.5±6.9, S:13.9±14.4とSpとFはNSだったが,Sで有意に長かった(p<0.05).食道最大横径(cm)はSp:4.3±1.1, F:5.4±1.3, S:5.8±1.1とFはSpに比べて有意に長かった(p<0.001)が,FとSはNSだった.LES圧(mmHg)はSp:40.1±14.4, F:41.3±15.2, S:32.1±11.4とSpとF はNSだったが,Sで低下する傾向を認めた(p=0.1).LES弛緩率(%)はSp:69.6±13.9, F:63.9±17.9, S:57. 1±23.1と3群間で NSだったが,平均値はSp,F,Sの順に低下した.下部食道蠕動波高(mmHg)はSp:32.1±17.3, F:24.6±10.2, S:16.6±9.0とSpとFは NSだったが,SはSp(p<0.001),F(p<0.05)と比べて有意に低かった.【結論】ach症例を拡張型別に分類し比較した.Sは病悩期間が長く,年齢が高く女性優位であった.LES圧,LES弛緩率,下部食道蠕動波高に示される食道運動機能はSp,F,Sの順に低下してゆくが,特にSでの低下が顕著であった. SpとFの病態の差は比較的軽微であったが,FからSに移行する際に病態が大きく変化した.そもそも食道造影でSpとFの判定には難渋することが少なからず,新規約を策定する際には以上の点を考慮し新たな拡張型分類を考案することが期待される.
索引用語 アカラシア, 取り扱い規約