セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭-良性疾患2

タイトル 消P-17:

食道アカラシアにおける下部食道圧と胆道排泄異常の検討

演者 小野 昌弘(香川大・消化器・神経内科)
共同演者 内田 尚仁(滝宮総合病院), 鎌田 英紀(香川大・消化器・神経内科), 有友 雄一(香川大・消化器・神経内科), 加藤 清仁(香川大・消化器・神経内科), 藤森 崇行(香川大・消化器・神経内科), 正木 勉(香川大・消化器・神経内科)
抄録 【目的】アカラシアは、食道の自律神経支配異常に起因する下部食道括約筋の弛緩不全と食道蠕動の欠如を主な病態とする機能的疾患である。非アドレナリン非コリン抑制神経の関与が指摘され、平滑筋弛緩作用を有する神経伝達物質としてVIP(vasoactive intestinal peptide)等が注目されている。組織学的にはAuerbach神経叢の変性と消失を認めるが、他の病因に関してはほとんど解明されていない。食道運動蠕動異常、肛門括約筋異常、胆嚢運動異常などの多彩な消化器機能異常の合併がみられるという報告があり、アカラシアの病態に全身の平滑筋の異常が関連している可能性を示唆している。そこで我々は、アカラシア症例におけるOddi括約筋機能に着目し検討を行った。【方法】アカラシアの診断は、食道内圧測定、造影所見および臨床症状に基づいた。アカラシア22症例(男性5例、女性17例、平均年齢62.4±17.8歳)に対して胆道シンチグラフィーを施行した。空腹時に99MTc-PMT(185MBq)を静注し経時的に撮像することにより、十二指腸への胆汁の能動的排泄能を検討した。また、腹部USで膵胆道疾患の有無を検索した。【結果】正常例における胆道シンチグラフィーでは、静注後10分以内に肝が描出され、15~30分後に総胆管、胆嚢が描出され、15~35分後に十二指腸への排泄が確認されるが、アカラシアの22例中11例において十二指腸への排泄遅延を認めた。これらにおいては、肝胆道への排泄時聞は正常であるにも拘らず、十二指腸への排泄時間は60分以上であり、排泄遅延例において下部食道圧は高値(t-test p=0.04)であった。さらに、十二指腸への排泄時間と下部食道圧には有意な相関が得られた。全例において十二指腸乳頭機能不全を示唆する自覚症状は認めなかった。【結論】アカラシアとOddi括約筋の機能異常は関連する可能性が強く示唆された。アカラシアは消化器全体において抑制性作動性神経障害が生じており、特に食道の異常が顕著に現れているのかもしれない。
索引用語 アカラシア, 十二指腸乳頭機能不全