セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭-悪性疾患1

タイトル 消P-23:

Helicobacter pylori感染と食道扁平上皮癌罹患の関係

演者 所 知加子(済生会横浜市南部病院・消化器内科)
共同演者 稲森 正彦(横浜市立大・消化器内科), 古出 智子(横浜市立大・消化器内科), 後藤 歩(横浜市立大・臨床腫瘍科), 阿部 泰伸(横浜市立大・消化器内科), 河島 菜々子(済生会横浜市南部病院・消化器内科), 亀田 英里(済生会横浜市南部病院・消化器内科), 吉村 築(済生会横浜市南部病院・消化器内科), 菱木 智(済生会横浜市南部病院・消化器内科), 池原 孝(済生会横浜市南部病院・消化器内科), 篠原 正夫(済生会横浜市南部病院・消化器内科), 中島 淳(横浜市立大・消化器内科), 前田 愼(横浜市立大・消化器内科)
抄録 【目的】Helicobacter pylori感染が食道扁平上皮癌(ESCC)のリスクを増加させるかどうかはいまだ明らかではない。しかしH. pylori感染が原因とされる胃粘膜萎縮がESCCのリスクを増加させるという報告は散見される。そこで今回我々はH. pylori感染がESCCのリスクを増加させるかについて、case-control studyにて検討を行った。【方法】ESCC患者51人と、年齢・性別を一致させた上部消化管病変のないコントロール51人を対象とした。H. pylori感染は、H. pylori血清抗体(HP-IgG)で診断し、その値により3グループ(Group A:<3.0U/mL、Group B:3.0-10U/mL、Group C:≧10U/mL)に分類した。また、胃粘膜萎縮は木村・竹本分類に基づき内視鏡的に診断し、O-2、O-3を高度萎縮とした。【結果】ESCC患者51人中、男性47人、女性4人、平均年齢は71歳(54-88歳)。血清学的陽性群(Group C)と陰性群(Group A+B)において、ESCC罹患率は52.6%と48.4%と有意差を認めなかった(P=0.6821)。しかし血清学的陽性群(Group C)に抗体価高値の陰性群(Group B)を加えたGroup B+Cと抗体価低値の陰性群(Group A)を比較したところ、ESCC罹患率は58.3%と38.1%と有意差を認めた(P=0.0434)。また、胃粘膜萎縮によりESCC罹患率を比較すると、高度萎縮例はESCC罹患率が58.5%であるのに対し、その他は38.2%であり、有意差を認めた(P=0.0475)。【結論】今回のcase-control studyにおいて、血清学的H. pylori陽性とESCCの関係は、明らかではなかったが、Group AとGroup B+CでESCC罹患率を比較したところ有意差を認めている。また、胃粘膜萎縮はESCCのリスクを増加させるという以前の報告と同様の結果が得られた。これらの結果について若干の文献的考察を含め報告する。
索引用語 食道扁平上皮癌, Helicobacter pylori