セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭-悪性疾患2

タイトル 消P-27:

食道扁平上皮癌に対する術前診断および術前治療に対するPET/CTの有用性と予後

演者 藤原 由規(近畿大奈良病院・消化器外科)
共同演者 柏木 徹(兵庫医大・核医学・PETセンター), 奥 直彦(兵庫医大・核医学・PETセンター), 岩間 密(近畿大奈良病院・消化器外科), 木谷 光太郎(近畿大奈良病院・消化器外科), 池田 光憲(近畿大奈良病院・消化器外科), 中山 剛之(近畿大奈良病院・消化器外科), 湯川 真生(近畿大奈良病院・消化器外科), 井上 雅智(近畿大奈良病院・消化器外科)
抄録 近年、組織代謝に基づいた生理学的情報を画像化することが可能なPET/CT検査が種々の悪性腫瘍に対して普及し、その診断能が向上しつつある。今回は、食道癌の術前StagingにおけるPET/CTの有用性および術前治療効果判定およびその予後に関するPET/CTの有用性について検討した。(対象および方法)2010年までに経験した食道癌手術症例46例(術前治療群24例、手術単独群22例)につき18F-FDG-PET/CTを行い検討した。術前治療群は、術前化学放射線療法群(CRT群)11名、術前化学療法群(C群)13名である。転移リンパ節転移は、SUV値2.0以上を陽性とし、術前治療の効果判定は、SUV減衰率%Δp((治療後のSUV-治療前のSUV)/治療前のSUV) x100)臨床的効果、病理組織学的所見、予後との相関性を検討した。Δpが-50以下をResponder、-50以上をNon-responderとした。(結果)1)リンパ節転移診断:Sensitivity56.7%、specificity82.3%であった。PET(-)、病理学的リンパ節転移(+)患者の平均リンパ節は4.45mm、PET(+)、病理学的リンパ節転移(+)のそれは12.2mmであった(p<0.05)。リンパ節転移偽陰性症例の多くは傍食道リンパ節および微小転移であった。2)Δpは、臨床的効果の認めた群(PR,CR)、組織学的効果を認めた群(Grade2,3)が有意に低下していた(p<0.01)。3)全生存率は、PETResponderとNon-responderで差を認めなかった。DFSも同様に差を認めなかったが、術前C群では、PETResponderの予後はNon-responderに比べ有意に良好であった(p<0.05)。(結語)PET/CTは、術前のステージング、特にリンパ節転移診断に関して有用である可能性が示唆されたが、偽陰性症例もあり今後検討が必要である。また、術前治療の効果判定に応用できる可能性がある。今回の検討では、術前化学療法群においてのみSUV減衰率が予後予測因子となりえる可能性が示唆されたが、症例数が少なく今後の更なる検討が必要である。
索引用語 食道癌, PET/CT