セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭-悪性疾患2

タイトル 消P-30:

非切除進行食道癌症例おける開腹胃瘻造設術の意義

演者 松山 仁(八尾市立病院・外科)
共同演者 平木 将之(八尾市立病院・外科), 松本 伸二(八尾市立病院・外科), 徳岡 優佳(八尾市立病院・外科), 橋本 和彦(八尾市立病院・外科), 横山 茂和(八尾市立病院・外科), 森本 卓(八尾市立病院・外科), 福島 幸男(八尾市立病院・外科), 野村 孝(八尾市立病院・外科), 佐々木 洋(八尾市立病院・外科)
抄録 【目的】非切除進行食道癌では化学療法、化学放射線療法などで治療されることが多いが、食道狭窄に伴う通過障害から生じる低栄養状態がしばしば問題となる。栄養状態の不良は治療成績にも影響を及ぼす因子であり、治療早期段階で胃瘻を造設することにより、栄養状態を維持しながら癌治療を継続することが可能になると考えられる。癌性狭窄によるPEG施行困難症例では開腹手術により胃瘻造設を行っている。今回われわれは、開腹胃瘻造設術の意義について検討した。【方法】2006年4月から2009年9月までの間に当科を受診し、根治切除不能と診断された食道癌50例を対象とした。治療早期段階での胃瘻造設の有無や造設手技による治療成績に及ぼす影響についてretrospectiveに検討を行った。【結果】初診時に通過障害を30例(60%)に認め、胃瘻造設あり:22例(44%)、なし:28例(56%)、胃瘻造設方法はPEG群:12例(54%)、開腹群:10例(46%)であった。1次治療として化学放射線療法:26例(52%)、化学療法:24例(48%)に施行し、1次治療完遂率は胃瘻あり:91%、なし:71%、2次治療移行は胃瘻あり:16例(72%)、なし:14例(50%)、外来治療移行は胃瘻あり:21例(95%)、なし:20例(71%)であった。PEG群と開腹群とに治療成績に差はなかった。開腹造設術の平均時間は45分(39-65)であり、合併症は1例(4%)に創感染を認めるのみであった。胃瘻造設から癌治療開始までの時間(中央値)は開腹術:6日、PEG群:4日であった。体重減少率、血清Alb値、生存率において両群間に有意差は認めなかったが、胃瘻造設群では全例通過障害を伴う症例であった(100 vs 35%)。【結語】非切除進行食道癌症例において、胃瘻造設群では治療完遂率、外来治療移行率が良好であり、PEG群、開腹術群に差は認めなかった。有効な治療法の開発のみならず、早期段階での栄養療法開始も治療戦略として重要であり、PEG、開腹術にかかわらず有効な栄養療法の1つである。
索引用語 食道癌, 胃瘻