セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭-悪性疾患2

タイトル 消P-31:

喉頭摘出術を回避した多発食道癌および重複食道癌への治療戦略

演者 松谷 毅(日本医大多摩永山病院・外科)
共同演者 吉田 寛(日本医大多摩永山病院・外科), 丸山 弘(日本医大多摩永山病院・外科), 横山 正(日本医大多摩永山病院・外科), 鈴木 成治(日本医大多摩永山病院・外科), 松下 晃(日本医大多摩永山病院・外科), 平方 敦史(日本医大多摩永山病院・外科), 高尾 嘉宗(日本医大多摩永山病院・外科), 馬越 通信(日本医大多摩永山病院・外科), 早川 朋宏(日本医大多摩永山病院・外科), 内田 英二(日本医大・外科)
抄録 【はじめに】喉頭摘出術は.もとの声が全く失われる(失声)状態となるため患者の身体的および精神的負担が大きい.近年,進行食道癌に対する根治的化学放射線療法(CRT)は良好な奏効率を示し,従来では喉頭摘出術を必要としていた症例に対し,手術療法とともに化学療法,化学放射線療法を集学的に治療しようという戦略が考えられる.【症例1】48歳,女性.主訴は嚥下時不快感.上部消化管内視鏡検査で,食道入口部,胸部上中部食道に不整なヨード不染帯を認め,生検で中分化型扁平上皮癌であった.T1aN0M0の多発食道癌と診断したが,食道入口部の病変に対する内視鏡的粘膜剥離術は困難と判断した.【症例2】61歳,男性.主訴は嚥下困難.上部消化管内視鏡検査で,胸部上部食道に2型腫瘍を認めた.同時に左下咽頭に0-IIc病変を認め,生検にて扁平上皮癌を認めたため食道下咽頭重複癌と診断した.【治療】症例1,2ともに喉頭摘出術は希望しなかったため,Docetaxel+Cisplatin+5-FU併用術前化学療法を行った後に,腹臥位胸腔鏡補助下食道亜全摘術,腹腔鏡補助下胃管作製,2領域リンパ節郭清,後縦隔経路にて頸部にて食道胃管吻合術,腸瘻造設術を施行した.術後合併症を認めなかった.両症例ともに術後残存している頚部食道癌および下咽頭癌に対しDocetaxel+Nedaplatin+5-FU併用CRTを施行した.CRT終了直後と4週間後に評価し,組織学的CRが得られた.有害事象は,Grade 3の白血球,好中球減少症とGrade 2の脱毛を認めたが,重症化することはなかった.症例1はCRT終了後6か月,症例2は5か月を経過したが腫瘍の再発・再燃は認めていない.【結論】従来は喉頭摘出術を必要とした頚部食道癌および下咽頭癌合併の食道重複癌で,集学的治療を行い短期的には良好な経過を辿っている症例を経験したので報告する.
索引用語 食道重複癌, 集学的治療