共同演者 |
矢野 雅彦(大阪府立成人病センター・消化管内科), 石原 立(大阪府立成人病センター・消化管内科), 山本 幸子(大阪府立成人病センター・消化管内科), 岸 健太郎(大阪府立成人病センター・消化器外科), 藤原 義之(大阪府立成人病センター・消化器外科), 真貝 竜史(大阪府立成人病センター・消化器外科), 能浦 真吾(大阪府立成人病センター・消化器外科), 大植 雅之(大阪府立成人病センター・消化器外科), 大東 弘明(大阪府立成人病センター・消化器外科), 石川 治(大阪府立成人病センター・消化器外科) |
抄録 |
【目的】T4(気管または大動脈)胸部食道癌は外科切除のみで根治を得ることは困難で、化学療法や化学放射線療法(CRT)を含めた集学的治療が必要である。T4食道癌の治療成績をretrospectiveに解析し、治療戦略について検討した。【方法】2000年から2010年までの他臓器転移のない気管(T)もしくは大動脈(Ao)浸潤を伴う胸部食道癌111例を対象とした。治療法を以下の3群に分けて検討した。(1)根治CRTを施行(DCRT群、salvage surgery施行例を含む)、(2)CRT(40Gy)の時点でT3にdown stage されたと判断し手術を施行(NACRT群)、(3)化学療法にてT3にdown stage されたと判断し手術を施行(NACT群)【成績】T4臓器はT/Ao/T+Ao:88/14/9例であった。全例の3生率/5生率は39.0%/29.5%、T4臓器別の生存率に有意差はなかった。治療法は、DCRT/NACRT/NACT:45/30/36例であった。治療法別の3生率/5生率は、DCRT:30.6%/22.9%, NACRT:44.1%/35.3%, NACT:45.3%/23.8%であった。予後に関して、NACRT群とDCRT群の比較では、NACRT群の方がよい傾向であり(p=0.0724)、NACRT群とNACT群の比較では、差を認めなかった(p=0.455)。CRT施行例においてresponder(R:CR,PR)はnonresponder(NR:NC,PD)より有意に予後良好であった(p<0.0001)。DCRT群とNACRT群の比較では、CRTの効果(R/NR)は、DCRT:21/16、NACRT:20/6で、Rの3生率/5生率は、DCRT:54.5%/45.4%, NACRT:55.3%/41.5%で有意差を認めず(p=0.946)、NRの3生率は、DCRT:0%、NACRT:16.7%と両群共に不良であったが、2群間比較ではDCRT群で有意に不良であった(p=0.002)。NACRT群で非治癒切除は6例であったが、そのうち5例はNRであった。【まとめ】T4胸部食道癌CRT施行例においてはPR以上の効果を得ることが予後改善につながり、より奏効率の高いレジメの開発が必要と考えられた。また、40Gy時点で画像上T3になった症例に対する手術に関しては、前向きの検討が必要だと考えられた。 |