セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭-症例報告1

タイトル 消P-40:

食道類基底細胞癌5切除例の検討

演者 森谷 宏光(国立相模原病院・外科)
共同演者 根本 昌之(北里大・外科), 柴田 隆智(北里大・外科), 三重野 浩朗(北里大・外科), 山下 継史(北里大・外科), 片田 夏也(北里大・外科), 桜本 信一(北里大・外科), 菊池 史郎(北里大・外科), 渡邊 昌彦(北里大・外科)
抄録 (はじめに)本邦の食道癌の多くは、扁平上皮癌(SCC)である。一方、食道類基底細胞癌(BSC)の頻度は切除例の0.9%と稀である。今回我々は当科で切除を行った、BSC症例について検討した。(対象・方法)1986~2011年2月までに当科食道悪性腫瘍手術467例のうち、BSCと診断された5例(1.1%)を対象とし、臨床病理学的事項、治療、予後の検討を行った。(結果)男性:女性 3:2、年齢(中央値)は67~71(70)歳、主占拠部位は全てMtで、肉眼分類は4例が表在癌で、いずれも0-1型を示した。進行癌1例は1型であった。5例中4例の術前診断はSCCで、1例のみBSCと診断された。治療は食道切除が行われ、4例は開胸食道切除で、表在癌の1例のみ鏡視下食道切除が行われた。補助療法は進行癌症例には術前化学療法、表在癌1例で術後放射線治療を行われた。病理組織学的検討は、pT1b 4例、pT3 1例であった。リンパ節転移は、進行癌 1例、表在癌 1例に認めた。リンパ管侵襲(ly)及び静脈侵襲(v)については、表在癌では、ly 2例、v 2例が陽性であり、進行癌症例ではly、vともに高度であった。術後再発は、表在癌の1例及び進行癌の1例に認め、初再発形式はいずれも肺転移であった。表在癌4例中3例は再発を認めていない。このうち2例は手術単独群で、2例とも術後5年以上の長期生存を果たしている。(考察)BSCは、発育形式から術前診断が困難であり、血管侵襲を高度に認めるため血行性転移をきたしやすいとされる。今回の検討でも、術前診断が可能であったものは1例で、肉眼分類は隆起型の形態を示したが、これは粘膜下発育を生じやすいという特徴を反映していると思われた。再発は2例で肺転移を認めた。表在癌4例中3例は再発なく、また2例は長期生存も可能であり、早期であれば手術による治療効果は期待できると思われた。しかし、進行癌では手術のみでは効果不十分であり、その治療法については補助療法を含めて更なる検討が必要であると思われた。
索引用語 類基底細胞癌, 食道