セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)食道・咽頭-症例報告2 |
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タイトル | 消P-45:当施設における壊死性食道炎5例の検討 |
演者 | 井上 俊太郎(横浜南共済病院・消化器内科) |
共同演者 | 洲崎 文男(横浜南共済病院・消化器内科), 寺田 昌弘(横浜南共済病院・消化器内科), 京 里佳(横浜南共済病院・消化器内科), 石井 寛裕(横浜南共済病院・消化器内科), 天野 歩(横浜南共済病院・消化器内科), 井口 靖弘(横浜南共済病院・消化器内科), 小谷 祥仁(横浜南共済病院・消化器内科), 鹿野 千行(横浜南共済病院・消化器内科), 岡崎 博(横浜南共済病院・消化器内科) |
抄録 | 【目的】壊死性食道炎は特徴的な食道粘膜の黒色変化を呈する稀な疾患であり、孤発症例の報告は散見されるが症例を集積した検討はほとんどない。今回われわれは壊死性食道炎を5症例経験したので臨床的な特徴について報告する。【方法】平成21年11月から平成23年2月にかけて当施設において上部内視鏡検査を行い壊死性食道炎と診断された5症例を対象に検討した。【成績】対象の年齢は31歳から80歳、男性3名、女性2名であった。基礎疾患は感染に伴なう播種性血管内凝固症候群2名、敗血症1名、糖尿病性ケトアシドーシス1名、閉塞性肺障害1名であった。1名が死亡、4名で軽快退院しており、入院期間は4名では7日から15日であったが1名は十二指腸潰瘍穿孔、脳梗塞を併発し長期入院(54日)を要した。上部内視鏡検査では全例典型的な黒色食道の所見で、並存病変は十二指腸炎3名、十二指腸潰瘍1名、急性胃粘膜病変1名で、5名中4名では胃に粗大な粘膜障害を認めなかった。【結論】本邦における壊死性食道炎の報告では基礎疾患としては糖尿病や重篤な感染症が多いが、同様の結果であった。壊死性食道炎の成因として局所の虚血、胃の軸捻転、十二指腸潰瘍などによる胃排出障害などが挙げられているが、今回の検討ではCT検査などで食道粘膜の虚血を示唆する所見は得られなかった。また内視鏡検査で胃排出障害を来たす所見もなかったが、5名中4名で胃粘膜障害が認められず、4名で十二指腸の粘膜障害が認められたことは特徴的であった。今回の症例のような重篤な基礎疾患や過大侵襲時には虚血再灌流現象による急性胃粘膜病変の頻度が高いことが知られているが、壊死性食道炎では急性胃粘膜病変と発症機序が異なることが予想される。 |
索引用語 | 壊死性食道炎, 食道炎 |