セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭-症例報告2

タイトル 消P-46:

腹腔鏡下胃瘻造設術後に腹腔鏡下食道バイパス術を施行した1例

演者 丸山 弘(日本医大多摩永山病院・外科)
共同演者 松谷 毅(日本医大多摩永山病院・外科), 横山 正(日本医大多摩永山病院・外科), 松下 晃(日本医大多摩永山病院・外科), 平方 敦司(日本医大多摩永山病院・外科), 吉田 寛(日本医大多摩永山病院・外科), 内田 英二(日本医大大学院・臓器病態制御外科学)
抄録 (はじめに)今回CRT後、追加の抗癌剤治療を施行したが、狭窄症状を繰り返し内視鏡治療下の食道拡張術を試みたが、経口摂取不能となり腹腔鏡下に胃瘻を造設し、その後腹腔鏡下に食道バイパス術を施行し経口摂取可能となった症例を経験したので報告する。(症例)70才男性、嚥下困難を主訴に受診。上部消化管内視鏡にて胸部下部食道に内視鏡の通過不可能な全周性の2型の腫瘍を認めた。生検で扁平上皮癌であった。CTにてT4、N1、M0と判断した。治療として5-FU(day1~5)、nedaplatin(CDGP)(day1~5)、docetaxel(day1)と放射線照射を50.4GyによるCRTを施行した。その後嚥下障害は改善し、CTでもPRを得られたので外来経過観察とした。約一ヶ月後狭窄症状が再燃し腹腔鏡下に胃瘻を造設した。2次治療としてTS-1とTXTによる抗癌剤治療に切り替えた。しかし嚥下困難が続き、内視鏡下に狭窄部の拡張術を繰り返し行った。遠隔転移は認めず、腫瘍の切除は不可能であると考えられ、経口摂取を目的に食道バイパス術(腹腔鏡下胃管作成、胸骨後再建頸部食道胃管吻合術)を施行した。術式は、腹部に5ポートを挿入。腹腔鏡下に胃を受動し腹部食道を切離した。胃瘻挿入部位から頭側に小切開をおき体外にて大弯側胃管を作成した。続いて鏡視下にて胸骨後経路を剥離、胃管を頸部に挙上し頸部食道とAlbert-lembert縫合にて吻合した。Triz 靱帯より20cmの空腸を腹部食道断端とover lap法にて吻合し、Roux-Y再建とした。手術時間は204分、出血量は30mlであった。術後経過は非常に良好で術5日目に内視鏡にて吻合部と胃管を観察、leakはなく胃管も血流良好であり、経口摂取も開始し得た。(まとめ)腹腔鏡下食道バイパス術は比較的手術侵襲が少なく術後合併症の発生が少ない。予後が比較的長く得られる経口摂取困難な症例に対し有用であると考えられた。
索引用語 食道バイパス術, 腹腔鏡