セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-基礎1

タイトル 消P-50:

動物における新規カリウム拮抗型アシッドブロッカーTAK-438の酸分泌抑制作用

演者 松川 純(武田薬品工業(株)・創薬研究所)
共同演者 堀 靖亘(武田薬品工業(株)・創薬研究所), 稲富 信博(武田薬品工業(株)・創薬研究所)
抄録 【目的】PPIは酸関連疾患の治療に広く使用されている薬剤であるが、夜間酸逆流の抑制効果が不十分、最大薬効を示すまでに数日を要する、CYP2C19代謝に基づく効果のばらつき、などの問題点がある。我々はそれら問題点を克服しうる新規・カリウム拮抗型アシッドブロッカーTAK-438の創出に成功した。今回、ラット及び犬を用いて、現在臨床で用いられているランソプラゾール(LPZ)との薬効比較試験を行った。同時にTAK-438ラベル体を用いた動態解析も行った。【方法】ラット及びハイデンハインポーチ犬において、ヒスタミン刺激胃酸分泌測定を行った。胃内pHを一時的に中性付近に上げる目的でラットにシメチジン(30 mg/kg)を静脈内投与し、15分後に各薬物を静脈内投与、その4時間後からヒスタミン刺激酸分泌を測定した。ラット胃灌流pH測定試験においては、各薬物を未刺激状態の麻酔下ラットに静脈内投与し、その30分後からヒスタミン持続投与(8 mg/kg/h)を行った。【成績】TAK-438 はラット及び犬の刺激胃酸分泌に対して、LPZよりも強く長い作用持続を示した。動態解析においては、TAK-438は血漿中からは比較的速やかに消失したが、胃組織においては投与24時間後においても比較的高い濃度が維持されていた。TAK-438はシメチジン前処置の有無に関わらず酸分泌抑制作用を示したが、LPZ投与時に胃内環境を中性付近にした条件下では酸分泌抑制効果は認められなかった。ラット胃灌流pH測定試験において、TAK-438はヒスタミン持続投与下でもpH 6程度を維持する薬効を示した。一方、LPZは一時的な胃内pHの上昇は示したが、ヒスタミン持続投与を開始すると灌流液のpHは明確に低下した。【結論】TAK-438の強力でかつ持続的な薬効は胃内に長時間蓄積・残存することによるものと考えられた。さらにTAK-438は持続的酸分泌作用を胃内pH環境の影響を受けることなく発揮できることが明らかとなった。TAK-438は現在のPPIを中心とした酸関連疾患に対して、より良い治療オプションとなることが期待される。
索引用語 カリウムイオン競合型アシッドブロッカー, 酸分泌関連疾患